2014.05.05up
 
そこにあるケミストリー[化学反応]
 
第32回定期演奏会プログラム

【第一部】
「セレブレーション」(スウェアリンジェン)
「エスパーニャ・カーニー」(マルキーナ)
「アウェイデイ」(ゴーブ) 指揮:山下篤
「走れメロス」(福島弘和)

【インテルメッツオ】
「宝島」by 夢笛管隊ヤローバンド

【第二部】
「ソウル・イントロ ザ・チキン」(パストリアス&エリス) Tb:今込治
「ロシアン・ファンタジー」(三浦秀秋 編) Tp:アレクセイ・トカレフ
「パイレーツ・オヴ・カリビアン」(ジマー)
「もののけ姫メドレー」(久石譲)
「セプテンバー」(EW&F) Tp:アレクセイ・トカレフ vs Tb:今込治
 
アンコール
「ディスコ・キッド」

山下篤さん(打楽器・指揮)、今込治さん(トロンボーン)、アレクセイ・トカレフさん(トランペット)という怪人3名をキャスティングするのには、相応の勇気も要ったかと想像しますが、そこはそれ、ある種の猛獣使いとも言える丸山透先生の絶妙な手綱さばきで、素晴らしいコンサートに仕上がりました。

印象に残った曲について感想を述べさせて頂きます。

第一部「セレブレーション」
弱奏部を限りなく丁寧に吹こうという意志が感じられる演奏で、強弱のコントラストをまずこの曲で、というメッセージを受け取りました。

第一部「走れメロス」
地の底から湧き上がる音粒。
昨夏コンクールの自由曲として演奏された楽曲が時を経て、こなれ、より高い解釈力のもとで再生されるのを実感しました。
高校の部活ですから当り前ではありますが、1年生から3年生までが一緒に演奏できる期間は最大で1年間だけです。
ただ、こういう曲を聴いていると、もう少し時間があればさらに熟成した音楽として楽しめるのになぁ、と正直思います。
 

  
ケミストリーを引き起こす3怪人揃い踏み。左から打楽器の山下篤さん、トロンボーンの今込治さん、トランペットのアレクセイ・トカレフさん
 
 
左)第一部と第二部の間に演奏された「ヤローバンド」アンサンブル。生物学上はヤローに含まれない人も参加していましたが... 右)ご存じ“猛獣使い”の丸山透先生

第二部「ロシアン・ファンタジー」
子供の頃に聴いた「一週間」という歌がロシア民謡だったということを、この日初めて知りました。
私の記憶では“月曜日にお風呂を焚いて、火曜日にお風呂に入る”といった歌詞があり、今考えてみると、どんだけ呑気なんだと思いますが、どうやらロシア本国の歌詞でも同じような内容だそうです。
そうした大らかさをトカちゃんのトランペットが紡いでくれました。
力強く、圧巻の演奏ももちろん素晴らしいですが、柔らかい音色のトランペットもまた聴きたいですね。

第二部「もののけ姫」
演奏する生徒たちが脳内に映像を十分に取り込んでいるためか、場面転換・ブレイク・半音進行のシンクロ等、随所に夢笛管隊らしさがあり、楽しめました。
映画という媒体が音楽を進化させ、新たに音楽に興味を持つ人を開拓する、という図式は古くて新しいものですが、日本ではジブリのアニメがそうした役割を中心的に担っているのかもしれませんね。
 

   
  
  
 
近年、中学時代は吹奏楽部に所属していたものの、高校に入ってからは軽音楽部に流れてゆく人が多いと耳にします。

管理人がやっているのもその類ですから、軽音楽がイケナイというわけではありませんが、せっかく修得した技術や考え方をより発展させ、積み重ねて分厚いものにしてゆくには、吹奏楽部というのは悪くないなぁと思います。

運営に携わる側の人たちも、ただ生徒が入部してくれるのを待つ、というだけでは難しい時代になったのかもしれません。

そういう意味でも、山下さん・今込さん・トカちゃんらをステージに迎えることでケミストリーを引き起こそうという夢笛管隊の試みも面白いですね。

では、夏のコンクールを楽しみにしていますね。
 

市民会館前の桜。管理人の体内時計は「定演=桜」にセットされています