|
|
一昨夏の鶴嶺、昨夏の北陵の戦いぶり、勝ちっぷり(いずれも3回勝った)は高校野球の持つ魅力を存分に教えてくれるものであった。
勝つことでしか得られない副産物 ― それははじめ「勝つ」ということ自体から生まれる当事者たちの達成感や満足感であるが、小さな同心円はやがて広がり、予期せぬケミストリーが起こる。 管理人は高校生対象の予備校で働いていることもあり、図らずも、勝ち上がって行く高校に所属する生徒たちが、1試合勝つたびに波状的とも言える“勢い”を増してゆく様がひしひしと伝わってきた。 それまで野球のことなど口にしたことのない女生徒が急に「○○くんがタイムリーヒット打ったよ」とか「ピッチャーの○○くんのボールは打てないよね」とか。○○くんは彼女たちの同級生なのだ。 また、男子生徒も「今日ヒットを打った××はいつも教室でつまらないギャグを言っている」とか「××の守備はマジうまいけど、勉強の方はヘタレだぜ」とか。××は彼らの同級生なのだ。 にわか解説者・にわか友だちが急増するのは、自分の周囲に身近なヒーローが登場した時必ず起こる現象の1つであるし、テンションが上がるのも無理はなかろう。 野球部関係者<同級生<学校関係者<卒業生・父母<地域 夏の地方予選を勝ち進むにつれ、野球部の磁力は強いものになり、地域を巻き込んだ“熱量”も増大する。 それはスタンドでの応援人数も加速度的に増えることを意味し、たかが高校の部活ではあるのだが、膨大なエネルギーが潜在していることが窺われる。 野球が攻守が完全に分かれているスポーツでなかったら、こうした熱は生まれないのでは、といつも思う。 そうした特殊性も含め、長きに亘って夏の風物詩として愛されている高校野球。 振り返ってみると、この「部活ネット」でも創設の2003年から数えると12度目の夏を迎えることになる。 干支がひと回りしたことにちょっとした感慨を覚えるが、「部活ネット」がなくなろうが、この夏の風物詩が続く限り、日本という国にはちょっとした幸せの源泉が確実に存在し、平和であることを証明してくれるであろう。 この夏も微力ながら、高校野球に関わる人たちを応援してゆきたいと思う。 選手諸君も熱中症には気をつけて。 特に3年生は、最後の夏に悔いの残らないように、ね。 |
|
|
|
![]() |
|
初戦:7/13(日)対横須賀学院高校 於・横須賀スタジアム |
|
|
|
昨夏、北陵野球部は池田颯というエースを擁し、部史上タイのベスト16にまで勝ち進んだ。 しかも、その勝ち方が2−1や1−0といった痺れるようなゲームの連続だったので、 勝ち進むにつれ、北陵高校内だけでなく、その周囲にも「熱」は伝播した。 しかし、そうやって勝ったことへのプレッシャーが今年のチームには圧し掛かる。 普段の力を出し切れるか。 それこそが最も難しいことなのだと管理人は痛感するが。 難しいからこそ、トライする価値もあるよね。 今年も北陵高校を応援します。 |
|
|
|
「1点ずつでも7点取る野球を」
キャプテン宮内優洋くん |
|
![]() |
中学時代(藤沢市立秋葉台中学)は正直“守備の人”だったというキャプテンの宮内優洋くん。 打撃重視の北陵に入学して「こんな野球もあるのか」と驚きつつも、次第に染まり、今では打率4割超(取材日時点)の強打者に成長。 昨夏ベスト16というプレッシャーも背負うキャプテンにインタビューさせてもらいました。 管理人「去年のチームと較べて、今年はどういう特徴がありますか」 管理人「大量得点はそれほど望まない、と?」 |
管理人「チームの目標、今後特に意識していきたいことは何ですか。」 管理人「北陵高校を進学先の選択肢として考えている中学生たちへのメッセージをお願いします。」 |
|
|
|
陰の仕事人の矜持 背番号10・石井幹大くん |
|
![]() |
石井幹大君の名前は既に昨年の時点からしばしば挙がっていた。 彼は北陵野球部“諜報部員”なのである。 昨夏、彼はベンチワークに勤しみ、持ち前のIT力を駆使して偵察・撮影・ビデオ編集を実行、快進撃の一助となったのだ。 管理人「サードコーチャーとしても頑張っていますが、そちらの仕事はいかがですか。」 |
管理人「将来はどういう仕事に就きたいという希望があるかな。」 |
|
|
|
「継承と改革」 二人三脚で最後の夏 マネージャー |
|
![]() |
昨夏2年生ではあったが、責任マネージャーだった大島美波さん(写真左)・竹内千尋さん(右)の二人に、今年も引き続きインタビューさせてもらいました。
管理人「去年、夏に4試合出来て、とても充実した時間を過ごしたと思いますが、いよいよ自分たちの学年のチームになって迎えるこの夏、どんな気持ちですか。」 |
管理人「マネージャーを3年間やって、よかったと思えることは?」 管理人「大会までに選手に実行してもらいたいことや、言いたいことはありますか。」 北陵野球部には毎年マネージャーが考える“夏の合言葉”(漢字二文字)がある。 いつもは既存の言葉の1文字を変え、その言葉をお守りにつけて、ということをここ数年続けてきたが、今年は『感謝』というストレートな言葉に決定。 そこには伝統を継承しつつ、変革もしてゆこうという心意気が垣間見える。 マネージャーの夏も熱い。 |
|
|
|
「ここに骨を埋めます」 11度目の夏 松島勝司監督 |
|
![]() |
松島監督とは11年連続のインタビューとなった。
通例、神奈川県の公立高校の教員は同一校には10年までしかいられないとのことだが、10年目を終えた時の年齢による例外措置があり、松島監督は北陵での指導を選ばれた、ということだ。 管理人「ベスト16に残った昨年と較べて、今年はどういう方向にチームが向かっている状況でしょうか。」 |
管理人「今年もどちらかと言うと打撃重視かと思いますが、どういう得点の取り方を想定されていますか。」 管理人「期待の人物はいますか。」 管理人「ちなみにバントは...?」 管理人「課題の投手陣の方はいかがですか。鶴嶺との試合では1年生の細野くんが5回まで零封しましたが。」 管理人「昨年の池田くんのような大黒柱がいないということで、継投になりそうですが。」 管理人「新しいコーチとして、昨年の主砲・野元くんが来ていますが、彼のコーチとしての資質というのはどういったところにありますか。」 毎年のことながら、やりくりをしつつチームとしての精度を上げてゆくこの時期、監督の話には興味が湧きます。 この夏の北陵野球部の活躍を祈念致します。 |
|
|
|
学生コーチ2人に訊きました |
|
|
◆野元湧太コーチ
今年からコーチに加わった野元くん。 管理人「どうしてコーチに?」 |
管理人「期待する選手は?」 管理人「チームに期待することは何でしょう。」 |
|
◆加藤貴明コーチ 管理人「今年のチームについて一言お願いします。」 管理人「注目している選手は?」 管理人「勝ち抜くために必要なことは?」 |
|
コーチとして最後の夏。 君の喜ぶ顔もまた見たい。 |
|
|
|
北陵高校ベンチ入りメンバー |
|
1. 横山 翼 3年 綾瀬市立春日台中学 2. 吉田 敦 3年 平塚市立浜岳中学 3. 鶴岡 一晴 3年 藤沢市立秋葉台中学 4. 服部 拓海 2年 茅ヶ崎市立松林中学 5. 宮内 優洋 3年 藤沢市立秋葉台中学 6. 本室 君樹 3年 藤沢市立高浜中学 7. 真崎 泰成 3年 茅ヶ崎市立赤羽根中学 8. 仁木 健斗 2年 藤沢市立滝の沢中学 9. 青野 将 3年 茅ヶ崎市立松林中学 10. 石井 幹大 3年 茅ヶ崎市立浜須賀中学 11. 細野 優登 1年 平塚市立大野中学 12. 小城 遥平 3年 茅ヶ崎市立松林中学 13. 相澤 快 1年 藤沢市立明治中学 14. 栗原 和哉 2年 藤沢市立羽鳥中学 15. 渡辺 順也 3年 藤沢市立湘洋中学 16. 藤村 一生 1年 茅ヶ崎市立浜須賀中学 17. 駿東 政徳 3年 大磯町立大磯中学 18. 吉永 尚史 3年 藤沢市立明治中学 19. 大八木知樹 3年 茅ヶ崎市立松浪中学 20. 田中 竣平 3年 藤沢市立湘洋中学 |
|
|
|
![]() |
|
6月14日(土)、北陵グラウンドで行われた鶴北戦。 天気もよく、野球観戦日和であった。 結果は3−2で北陵が勝利を収めたが、これはあくまで練習の一環であり、勝ち負けそのものの持つ意味はあまり大きく考えなくてもよかろう。 |
|
![]() |
|
今年は大黒柱と呼べるエース・松田くんを擁する鶴嶺がやや有利かと思われていたが、3回ウラ北陵が4安打を集中(全て単打)して先行。 結果的にはそのまま逃げ切った、という図式であった。 北陵は1年生左腕の細野優登くんが先発。 時々すっぽ抜けるボールもあるが、終始落ち着いて5回まで零封。 まだスタミナには欠けるが、野球理解力が高く、投げるたびに何かを掴んでいる(松島監督・談)とのことで、夏の大会でも十分に計算できる戦力となろう。 ネット裏から見ていても、なかなか鋭い変化球もあった。 6回から投げた横山くんはサイドから力強い投球で、内角も鋭く突いていた。 9回、投げ急いだのか、四球を続けたのは今後の課題であろうか。 |
|
![]() ![]() ![]() |
|
左から鶴嶺・松田投手、北陵・細野投手、北陵・横山投手 |
|
鶴嶺の松田くんは、昨年の鶴北戦で初完投勝利。 それを一つのステップにして、今の不動のエースという立場を築いたと言えよう。 今回、負け投手になったのは春の県大会の向上戦以来とのことだが、けして崩れてしまったわけでもなく、ピッチング自体はよかったように思えた。 |
|
![]() ![]() ![]() |
|
左から北陵・吉田捕手、鶴嶺・小林捕手、鶴嶺・飯島主将 |
|
素晴らしかったのは両チームのキャッチャーだ。 北陵・吉田くん、鶴嶺・小林くんともに昨夏からマスクを被っているため、勿論経験値も高いのだが、どちらもキャッチングと敏捷性に優れている印象だ。 夏の大会のキャッチャーはたいへんな重労働だが、是非体調に気遣いながら、ずっとホームを守り続けて欲しい。 多くの高校で「複数投手制」は敷かれるようになったが、主戦捕手の代わりまではなかなか準備できないものだ。 彼らに掛かる期待は、ある意味で最も高いと言える。 また、管理人は鶴嶺の飯島主将にも注目していた。 トップバッターで「第1打席の初球はストレート狙いでいきます」と宣言していたので、思い切りよく振れるかなぁ、と。 昨夏、北陵のトップバッターでキャプテンだった飯田くんとイメージを重ねて見ていた。 (ちなみに、飯島悠斗と飯田悠斗で1字違いだったりもする...) すると、有言実行で振りました。 (結果はファール) その意気やよし。 彼は8回、右打ちの三塁打で打点を挙げる活躍もした。 9回、失点に繋がるミスもしたが、それを反省材料に頑張るはずだ。 このレポートの最後に、9回の鶴嶺高校の攻撃について触れておきたい。 1死後、2つの四球で一二塁となった場面で、7番の瀬戸くんが送りバントを決めた。 このあと、結果的にワイルドピッチによる1点が入っただけだったので、同点・逆転には至らなかったのだが、本当にブレがないと感心した次第である。 北陵・鶴嶺両チームらしい戦いぶりを見せてもらえて楽しかった。 |
|
![]() |
...にしても、たくさん観客が来ていました。 皆、夏が近づくと野球熱が疼くのだろうか。 またスタジアムで会えることを楽しみにしています。 お声掛け頂いた皆さん、ありがとうございました。 お互い、熱中症には気をつけましょうね。 |
|
|
![]() |
|
初戦:7/15 保土ヶ谷−鶴見の勝者 於・等々力球場 |
|
2010年に亀山監督が就任されて、最初の2年は初戦敗退が続いた。 それでも少しずつ積み上げていったものが開花し、2012年には森野・日向という2枚の好投手を擁して3勝。 昨夏も強烈なキャプテンシーで下級生中心のチームを牽引した両村主将のもと1勝を挙げ、いよいよこの夏シード権を獲得した鶴嶺。 紆余曲折はありつつも、だんだんと力をつけてゆくチームの成長を見るのは楽しい。 管理人が見ている範囲でも“精神年齢の高いチーム”という印象を受ける。 シード校という重みは受け止めつつ、それに押し潰されない逞しさで勝ち上がって欲しい。 3回勝てば、春にベスト8を懸けて敗れた相手、向上高校(ちなみに昨夏、ベスト16に進出した北陵を倒したのもこの学校である)との再戦が実現する。 ちなみに、向上は春の県大会で準優勝(優勝は横浜高校)し、その勢いで関東大会も準優勝している。 勿論、その戦いの場に立つには一戦一戦を勝って行かねばならない。 道はけして平坦ではないが、今年の鶴嶺には期待してもいいだろう。 |
|
|
|
「脚がウリ」 切り込み隊長・キャプテン飯島悠斗くん |
|
![]() |
今年のキャプテンは昨夏よりショートを守る飯島悠斗くん。 2年生主体であった昨年来、ずっと中心でチームを引っ張って来た。 管理人「キャプテンから見て、今年のチームはどのように映りますか。」 |
管理人「飯島くん個人としてはどういう面を出したいかな。」 管理人「将来はどうしたいと考えていますか。」 ...確かに。 管理人「最後に、これから高校受験を目指す中学生にメッセージをお願いします。」 シード校というプレッシャーもあるだろうが、ひじょうに明るく語ってくれた飯島主将。 鶴嶺黄金時代を引き寄せてくれることを願っています! |
|
|
|
鶴嶺野球部は私のアイデンティティ マネージャー・今野みづきさん |
|
![]() |
鶴嶺高校責任マネは、これで3年連続インタビューの“部活ネット新記録”達成となった今野みづきさん。
一昨年・昨年と幼さを残していた彼女も、その振る舞いが大人っぽくなって、しっかりしているのに驚かされる。 管理人「いよいよ最後の夏が近づいてきたわけだけど、今どういう心境かな?」 管理人「今年のチームは過去2年と較べてどういうチームだと感じますか。」 |
管理人「今年も1年生マネージャーが入ってきたようですが、後輩たちが増えて、どんな気持ちですか。」 管理人「頑張って欲しい選手を挙げるとすれば?」 将来は動物園の飼育係になりたいという今野さん。 最後の夏、君の笑顔が輝くことを祈ります。 |
|
|
|
「監督史上最強のチームで最高の結果を」 亀山博人監督 |
|
![]() |
亀山監督をして、野球指導歴の中で“最もチーム力がある”という今年の鶴嶺高校。
10年ぶりにシード校として登場する夏。 監督の思いは... 管理人「春ベスト16で第3シードを獲りましたが、今年のチームは監督の目からはどう映りますか。」 |
亀山監督「エースの松田に絶対の信頼感があるということと、キャッチャーの小林も強肩に加えてキャッチャーらしからぬ機敏さがあり、彼ら二人が打でも主軸ということもあって、まずはこの二人がチームの骨格になっています。また、昨年もスタメンのうち6人が2年生という若いチームで戦っていましたから、そこからの経験の蓄積もひじょうに大きいですね。」 管理人「松田くんが不動のエースとなったわけですが、単にボールが速いというだけではそこまでの信頼感は得られないと思うのですが。」 管理人「松田くんが零封したとしても、得点が取れなければ勝てないわけですが、打線の方はいかがですか。」 管理人「バント戦術の見直しとかはありますか。」 管理人「シード校だからといって受けに回ることはないかと思いますが、組合せの結果、順調に勝ち進めば5回戦で再度向上との戦いが予想されます。春の雪辱をするために、どんな戦略を描いていらっしゃいますか。」 さあ、楽しみな夏。 願わくば地域を巻き込んだ旋風を起こして欲しい。 |
|
![]() ![]() ![]() |
|
訪問日は久し振りにグラウンドで練習が出来る状態ではあったが、整備には余念がなかった | |
鶴嶺高校ベンチ入りメンバー |
|
1. 松田 裕樹 3年 茅ヶ崎市立浜須賀中学 2. 小林 亮介 3年 藤沢市立大庭中学 3. 小澤陽一朗 3年 藤沢市立六会中学 4. 佐藤 快成 3年 藤沢市立高浜中学 5. 及川 智也 3年 二宮町立二宮中学 6. 飯島 悠斗 3年 平塚市立浜岳中学 7. 長田 健哉 3年 寒川町立寒川東中学 8. 瀬戸 達也 3年 藤沢市立六会中学 9. 須田 輝我 3年 藤沢市立明治中学 10. 若林 和哉 3年 藤沢市立高浜中学 11. 松村龍太郎 3年 大磯町立大磯中学 12. 石山航太郎 3年 茅ヶ崎市立中島中学 13. 折原 和弥 3年 藤沢市立大庭中学 14. 三觜 凌平 3年 藤沢市立明治中学 15. 佐藤 樹 3年 二宮町立二宮中学 16. 園田 優太 3年 藤沢市立高浜中学 17. 佐々木 慎 2年 茅ヶ崎市立中島中学 18. 渡邊 勇樹 2年 平塚市立大野中学 19. 川口 太優 2年 茅ヶ崎市立松林中学 20. 星野 哲平 1年 平塚市立春日野中学 |
|