2015.06.01up

鶴嶺高校 ◆北陵高校 ◆鶴嶺黒田部長インタビュー  ◆鶴嶺・北陵ベンチ入りメンバー
 
いよいよ今年も野球の季節が近づきました。

毎年思うことですが、3年生で、この大会を最後に硬式野球は二度とやらない、という諸君にとってはこの時期、時間がいくらあっても足りないのではないかと。

幼い頃から親しんできた野球への惜別の情をしっかり胸に刻んで、最後の頑張りを自らに示したいですね。

優勝校は1つですが、皆さんのそれぞれの健闘を祈ります。

― 管理人
 

2015.07.05up
 
鶴嶺高校野球部部長 黒田元先生へのロングインタビュー
 
亀山野球の具現化と部員の意識改革
 

黒田元先生は昨秋、社会科の臨任講師として鶴嶺高校にやってきた若き指導者である。

大阪府堺市出身、阪南大高校(高校時代は二塁手)を経て、東海大に進学後は指導者を目指すために学生コーチに就任。
現在巨人で活躍中の菅野智之投手は東海大での同期に当たる。

卒業後、2年ほど系列の東海大相模高校でコーチ経験を積み、様々なことを吸収して、現在は鶴嶺高校の部長として日々指導をされている。

管理人は、6月13日(土)鶴北戦をネット裏で観戦しながら、黒田先生から様々なことを訊かせてもらうことが出来た。
(※記事中の情報その他は2015年6月13日時点のものです)

 

管理人「鶴嶺高校野球部を指導するのに当り、どういう点をポイントとして部員たちに伝えようとお考えでしょうか。」
黒田先生「まず、監督である亀山先生のやろうとしている野球を理解して、それを起点に僕が気づいたことを伝えていければと思っています。」

管理人「と言うと?」
黒田先生「相模でもそうでしたが、守りのミスで負けることは嫌ですし、接戦で勝つことに意味がある、というのは全く同感でしたので、どうすればそうなれるかということから考えました。やはり“意識”の問題も大きいと感じました。夏の大会というのは普段の練習の集大成ですから、そこで勝つ確率を上げるのに何が足りていないか、というのを練習・試合を通じて確認しました。」

管理人「具体的にはどういうことでしょうか。」
黒田先生「うちのチームは初回と6回に失点することが多かったのですが、これなどは試合開始前やグラウンド整備といった時間に集中が切れている証拠で、実際、選手たちがベンチ内で談笑している場面も多々ありました。一度集中を切らしてからもう一度集中するより、試合開始から最後まで集中していた方が勝つ確率は高いだろう、ということも何度も言いました。ようやくそれも浸透してきました。」

管理人「プレーに関して意識して取り組ませたことは何でしょうか。」
黒田先生「プレーの結果を安易に決めつけない、ということですね。例えば走塁では、十分間に合うタイミングでも全力疾走する、出塁した時には可能な限りオーバーランして相手のミスを誘う、といった基本的なことです。また、内外連携では、確実にアウトに出来るところを確実にアウトにするためにカットマンはどう動くべきか、ダイレクト送球すべき状況かどうか、さらには内外連携の練習で走者として参加している者はどう動くべきか、といった判断力を養うことにも力を入れました。」

管理人「東海大在学中は学生コーチとして大学生を、また、鶴嶺に赴任される前の2年間はあの東海大相模で指導されていたとのことですが、その影響・効果はどういったところに現れますか。」
黒田先生「東海大は地方の強豪校の主力が集まるところですから、既に持ち合せている技術をさらに磨くことに力点がありました。ですから、学生コーチの経験は技術指導をするという点ではとても役に立っています。相模では初めて高校生を指導することになって、実は最初の1年間は戸惑うことも多く、2年目にようやく指導らしいことが出来るようになりました。大学生との違いは、技術に偏ることなく、心技体をほぼゼロから引き上げて構築する点でしょうか。そして、それこそが高校野球の醍醐味でもありますね。」

管理人「今年の鶴嶺で先生が期待している選手を挙げて頂けますか。」
黒田先生「もちろん全員に期待していますが、やはり井口の投球に懸かっているところは大きいですね。彼は安定感抜群で、コントロールに苦しんで崩れることはほぼないと言えます。配給・間の取り方・フィールディングといったことにも自分の意見を根拠を持ってちゃんと言えるというのは素晴らしいです。これで夏までにもう一段真っ直ぐの精度を上げられたら、と思います。」

管理人「井口くん以外ではどうですか。」
黒田先生「打のキーマンは野崎ですかね。3番野崎・4番川口・5番佐々木で固定出来るようだと理想的です。」

管理人「強豪私学と当った時、どう対応して勝ちに行くか、というのは永遠のテーマでもありますが、先生から見てどういった戦術・戦略が考えられますか。」
黒田先生「ロースコアの展開に持ち込むしかないとは思います。そのためには、いかにピッチャーがインコースを突けるか、ですね。強打者に対してアウトコース一辺倒の配球では、踏み込まれて痛打されますから。よく佐々木(主将・捕手)ともそのことを話します。彼も十分わかっていると思います。」
 

管理人「先生は臨任ということで、いつまで鶴嶺にいられるかわからない状況ですが、生徒たちにこれだけは伝えたい、ということはありますか。」
黒田先生「ここには、技術指導をしに来たわけではなく、チームを強くしに来たと思っています。なので、けしてうまくなくてもいいから、強くあれ、と言いたいですね。そして、野球をずっとやれるような子はほとんどいないので、野球から離れたあと、人として生きてゆくのに、野球から得たものを活かしてもらいたい、ということですね。」

管理人「お忙しい中、ありがとうございました。夏の大会を楽しみにしていますね。」

礼儀正しく、芯のある性格が滲み出る好青年。

出来れば長らく鶴嶺で指導して頂きたいと願ってやみません。


鶴嶺高校ベンチ入りメンバー[敬称略]
 
監督 亀山博人 部長 黒田 元

 1 井口 雄大 2年 中島中 右 右
 2 佐々木 慎 3年 中島中 右 右
 3 細野 太志 3年 大野中 右 左
 4 渡邉 勇樹 3年 大野中 右 右
 5 守屋 太貴 3年 二宮西 右 左
 6 野崎 月都 3年 浜須賀 右 左
 7 中村 和波 3年 鶴が台 右 右
 8 野中 亮平 3年 北陽中 右 右
 9 川口 太優 3年 松林中 右 左
10 星野 哲平 2年 春日野 左 右
11 工藤  嶺  3年 湘洋中 右 右
12 小鹿 峻裕 3年 大野中 右 左
13 松本 壱成 3年 松林中 右 右
14 窪田 幸生 1年 太洋中 右 右
15 益子 慎矢 1年 大谷中 右 左
16 加部翔太郎 1年 鶴嶺中 右 右
17 佐々本圭吾 2年 松浪中 右 右
18 臼居 太郎 3年 西本郷 右 右
19 扇 侑也   3年 二宮西 右 右
20 佐藤 有希 3年 太洋中 右 右

北陵高校ベンチ入りメンバー[敬称略]
 
監督 松島勝司 部長 小澤和之
 1 安本 燎平 3年 村岡中 右 右
 2 栗原 和哉 3年 羽鳥中 右 右
 3 府川 元輝 2年 江陽中 右 右
 4 藤村 一生 2年 浜須賀 右 両
 5 牛山 直人 3年 高浜中 右 右
 6 服部 拓海 3年 松林中 右 左
 7 三田 賢   3年 赤羽根 右 右
 8 仁木 健斗 3年 滝の沢 右 右
 9 飯森 涼太 3年 片瀬中 右 右
10 細野 優登 2年 大野中 左 左
11 根本 晃輔 2年 深沢中 右 右
12 武井 友希 3年 江陽中 右 右
13 相澤 快   2年 明治中 右 右
14 篠木 徹   3年 藤が岡 右 右
15 五十嵐亜入 3年 赤羽根 右 右
16 古谷 勇樹 2年 西浜中 右 右
17 長谷川大悟 1年 海西中 左 左
18 澤野 涼太 3年 旭が丘 右 左
19 泉妻 郁哉 3年 藤が岡 右 右
20 鄭 貴仁   3年 鶴が台 右 左
 

2015.06.14up
 
北陵野球部は一昨年の夏、古豪・法政二などを撃破し、ベスト16へと進出。

勝ち進むにつれて、学校関係者・地域を巻き込んで、「野球部の持つ磁力」を体現させたことが強く印象に残ります。

また、管理人にとって、感慨ひとしおなのは、監督である松島先生が今年定年となることである。

部活ネットの黎明期から12年連続で取材させてもらったてきたが、特別措置での次年度以降の再任用がなければ、今年の夏が最後になる可能性もある、ということなのだ。

今年は要所に3年生を配置し、下級生メンバーを盛り上げていこうという図が読み取れる。

そして、彼らの目標は『甲子園』である。
 

いつもと同じ。やるからには『甲子園』を目指したい
 
松島監督にインタビュー
 

 

赴任から12年。

北陵野球部を率いる松島勝司監督の歩みは、当部活ネットと寄り添うかのようであり、管理人にとってもひどく思い入れがある。

最後となるかもしれない夏への思いを尋ねてみた。

管理人「最後になるかもしれない、というお気持ちはあるものですか?」
松島監督「それが全くと言っていいほどないんですよ。余分な力は入っていないというか。いつもの通りですね。」

管理人「キャプテンの話では、目標は甲子園、とのことでしたが、これは監督も居る中で決まったことでしょうか。」
松島監督「生徒たちはベスト16とかベスト8とか言うことが多いのですが、『お前たち、それでいいのか?トップを目指そうという本気はないのか?』ということは言いました。本気でやってこそ面白いですし、本気でやらずに目指せる場所ではありませんからね。」

管理人「北陵のような公立高校が甲子園を目指すとすれば、何に留意することが不可欠となるでしょうか。」
松島監督「神奈川のベスト16にまで行く力は何とかつけられると思います。しかし、練習環境や選手の資質を考えれば、強豪私学を上回るような揺るぎないチームを作るというのは、正直難しいですね。しかし、どこか突破口があれば、五分の力がなくても何とか出来ることもあるのが野球ですから。」

管理人「現実的に、その突破口というのが“打撃”ということでしょうか。」
松島監督「はい。うちの投手陣が強豪私学を完封するというのは無理でしょうから、可能な限り失点を防ぎつつ、打って得点出来るような力をつけたいですね。そのために、練習時間の8割を打撃に割いていますから。」

管理人「とは言いつつも、アウトを取らないことには野球は出来ませんから、守備についても相応のことはしなければなりません。」
松島監督「守備については、確実にアウトに出来るところを確実にアウトにする、ということは当然ですが、それ以上のことはあまり望んではいないですね。それでも、まずまずの守備力はあるとは思いますが。」

管理人「さて、今年のチームについてはどういった特色でしょうか。」
松島監督「エース候補の細野、4番候補の相澤はどちらも2年生ですが、彼らがけがで万全ではないので、まだベストメンバーを組むことが出来ない状態です。例年以上に発展途上と言えます。シードの強豪校を倒すには、彼らの力は必要ですし、ピッチャーも細野だけでなく、飯森・根本・安本の力もないと厳しいでしょうね。」

管理人「2年生に有望株も多いようですが、3年生たちがどう機能するかも、夏の大会では大きな鍵を握ると思いますが。」
松島監督「ええ。内野は守備が堅実な服部をショートに回して、彼がまとめてくれるのを期待しています。そういう期待もあって、1年生の時から使い続けていますから。外野は仁木にまとめてもらいたいですね。仁木は野球をする中で、我慢する時は我慢するといったこともわかって実行出来ますし。そして全体を栗原がまとめてくれる、というのが理想ですね。栗原のキャプテンシーは素晴らしいと思います。」

管理人「夏に向けて、伸び代のある部分、或いはこの選手に出てきて欲しいといった希望はありますか。」
松島監督「まずはけが人の復帰ですね。あとは、長打があるという意味では、府川にも期待しています。彼に判断力・確実性がつけば、相澤と並んで、打の大きな戦力となりますから。毎晩、メンバーのこと、打順はどうするかということを考えています。」

管理人「北陵に来られて12年。今の心境をお聞かせ願えますか。」
松島監督「幸いにも、毎年部員が入ってくれて、人数不足になることもなく、やってこれました。それは本当にありがたいことですね。それに、途中で辞めるような子もほとんどいませんし。私は北陵に来てくれる子たちとともに甲子園を狙いたい、という気持ちをずっと持ち続けています。教員になったのも、それが目的でしたから。なので、彼らの可能性を導き出して、強豪私学と戦い、勝ちたいですね。」

管理人「ありがとうございました。健闘を祈ります。」

相澤くんのけが(恥骨結合炎)からの復帰が待たれるところですね。
そして、3年生諸君の最後の夏に懸ける気持ちが試合に発揮されることを願っています。

本日(6/13)、夏の大会の組合せが決まり、初戦は7/14(火)湘南台高校との戦いになります。
何とか応援に駆けつけたいと思います!
 



キャプテンにインタビュー

 

 
今年のキャプテンは羽鳥中学出身の栗原和哉くん。
北陵に来たのは一昨年のキャプテンでもあった飯田悠斗くんから誘われたことも大きな要因だったとのこと。

この春からチーム事情によりキャッチャーにコンバートされ、その打撃だけでなく、いかに投手陣を引っ張るか、ということにも期待が掛かっている。

管理人「今年のチームについて、キャプテンの目にはどう映りますか。」
栗原くん「甲子園というのを目標に、皆で頑張ろうという気持ちを持っています。時間に制約がある中でも『打ち勝つ野球』を意識して、それぞれが個人の能力を高めようとする気持ちがあります。」

管理人「北陵は毎年打撃に対する意識が高いけど、実際の練習としてはどういったメニューでやっているのかな。」
栗原くん「フリーバッティングが出来るような日はほとんどないので、テニスボールによる打撃練習、ケージに入ってマシンで打つ、という形式ですが、ここ1本という意識と、試合ではファーストストライクから積極的に打ってゆくという姿勢を常に持とうとしています。」
管理人「どのくらいの時間を打撃練習に割いていますか。」
栗原くん「6限の時は全体の8割くらいですかね。7限の時はほぼ全てが打撃練習です。あと、木曜は自分たちで作ったメニューでやらせてもらっています。」

※管理人・注
北陵高校では1限45分の授業を、日によって6限・7限を組み合せて時間割が設定されています。


管理人「もとからキャッチャーというわけではないようですが、どうしてまたキャッチャーになったのかな。」
栗原くん「春までは2年の相澤がキャッチャーで、僕はファーストだったのですが、相澤のケガでコンバートされることになりました。」

管理人「実際キャッチャーになってみて、どんな風に考えるようになりましたか。」
栗原くん「視野を広く持って、周りに気遣うように心掛けるようになりました。それはキャプテンをやっていることにもいい影響がありました。それと、なるべく強気にリードしていこうと思っています。」

管理人「守備については?」
栗原くん「取れるアウトを確実に、という意識を徹底しています。」

管理人「このチームが夏に快進撃をするための不可欠な要素は何だと思いますか。或いは、活躍してもらいたい選手ということでも結構です。」
栗原くん「まずは2年生の細野が肩痛から復帰出来るかどうか、です。他にもピッチャーはいますが、細野が軸になってくれればと思います。左で攻めの投球が出来ますし、この夏に懸ける思いも強いと思います。あと、ショートの服部には守備で内野を引っ張って欲しいです。彼以外の内野が2年生ということも十分考えられるので、そこには期待しています。センターの仁木もずば抜けた守備力があり、経験値も高いので、力を発揮してもらいたいです。」

管理人「では、最後に北陵野球部を目指そうとする中学生にメッセージをお願いします。」
栗原くん「先輩・後輩の上下関係はなく、言いたいことが言える部活です。ただ、練習をサボッたりするとプレッシャーは掛けられます(笑)。野球部に限らず、優しく、心の広い人がたくさんいるのが北陵ですので、是非来て下さい。」

管理人「ありがとうございました。頑張って下さいね。」
 


マネージャーにインタビュー

 

 
責任マネは3年の小高(こたか)ひとみさん。

彼女はお兄さんが一昨年のメンバーということもあって、北陵高校には親しみもあったようですが、当初はバレー部に入るつもりだったとのこと...。

管理人「それがまた、なぜ野球部のマネージャーに?」
小高さん「実は同学年にバレー部に入る子がいなくて...。それで、兄もいるし、自分でも小学生の時は少年野球チームに入っていて、ルールもだいたいわかるということもあって。実は兄には『来るなよ』って言われたんですけど(笑)」

管理人「野球のどこが面白いと思いますか。」
小高さん「野球の試合では様々な戦術・戦略があって、こういう場面ではどうするのか、といったことを見ているだけでも楽しいです。練習を見ているだけでも楽しいくらいですから。」

管理人「今年のチームに期待する点はどんなところですか。」
小高さん「3年は全員ベンチ入り出来たので、しっかり団結して頑張って欲しいですね。」
管理人「個人的に『この選手に頑張ってもらいたい』というのがあれば。」
小高さん「仁木くんですね。1年生の時からずっと頑張ってきているので。一度は腰を痛めて、試合に出られない時期もあったのですが、必死にケアして我慢も重ねて、ベンチからも誰よりも声を出している姿も見ていましたから。」

管理人「ちなみに、将来就きたい仕事はありますか?」
小高さん「動物が大好きなので、犬の訓練士になりたいと思っています。小学校1年の時にテレビで見て、初めて知ってからずっとそれが希望です。」

管理人「最後に、北陵高校野球部、或いは北陵高校そのもののよい点を中学生にアピーチして下さい。」
小高さん「基本的にとても明るい学校です。先輩たちは優しく、友だちも本当にいい人ばかりです。努力する人たちがたくさんいる環境なので、是非考えてみて下さい。」

管理人「ありがとうございました。」

千羽鶴を折り、お守り作成中の小高さん。
その祈りが通じることを、管理人も祈ります。
 

2015.06.01up
 
鶴嶺高校は2008年に『夏の大会10年連続初戦突破』という偉業を成し遂げたあと、3年連続初戦敗退という苦しい時期もあった。

しかし、2012年に3勝を挙げる活躍を見せたあと、一昨年・昨年も勝利を重ねてきた。

また、ここ数年は秋や春の大会でシード権を取ることも珍しくなく、いよいよ夏に強豪私立を倒す日も近づいてきた印象です。

今年は新たに東海大相模高校でのコーチ経験を有する黒田先生が赴任されたことに加え、新1年生が20名入部。

全学年で57人の選手と、7人のマネージャーという、近年最大の集団となった。

そして、単に数が多くなったというだけではない“進化”が生まれたのは間違いない。

管理人も、鶴嶺高校野球部を見て13度目の夏。

自分の目が腐っていない自負はある。

「球際への闘争心」は研磨されている。

この夏を楽しみにしたい。
 

ただならぬ熱量と節約野球
 
変わらぬ基本姿勢と変わった意識
 
亀山監督にインタビュー
 
※管理人がグラウンドに一歩入ると、全部員が一斉に直立不動の姿勢で「こんにちは」と威勢よく挨拶をしてくれた。ちょっと感激しました...

管理人:ご無沙汰です。それにしても元気のいい挨拶ですね。
亀山監督:ありがとうございます。今年も1年生が20人入って、選手57人、マネージャー7人の大所帯になりました。

管理人:ここ数年、新入部員が増えているというのは、やはり夏の大会での実績に加えて、春・秋の大会でもシードを獲るような活躍ぶりと無関係ではないでしょうね。
亀山監督:はっきりとはわかりませんが、夏休みに行っている部活体験では50人くらいが参加してくれて、かなり粒揃いな印象でしたし、実際に鶴嶺に入学して野球部に入った生徒たちも「やる気で入った」と思いますね。勢いや技量も上級生を脅かすほどです。

 
管理人:これだけ人数が増えれば、その管理もかなり大変かとお察ししますが...
亀山監督:ええ。なので、現在は卒業生の日奈太(編集・注 一昨年の主力メンバーであった鈴木日奈太くん。現在は日体大2年で教職を目指している)に手伝ってもらっているほか、去年の秋から臨任で来られた、元東海大相模のコーチでもあった黒田先生にも見てもらっています。また、練習試合もA班・B班に分かれて組むことも多いので、顧問の先生も5人に増やしてもらって対応している状況ですね。

管理人:今年、昨年までと変わった点にどういうことが挙げられますか。
亀山監督:やはり、攻撃力・打力は水もの、という考えは変わらないので、守備に力点があることは間違いないのですが、ぎりぎりの可能性を諦めない、という意識が上がったと思います。

管理人:というと、具体的にはどういった辺りが...
亀山監督:まず、内外連携に対する考え方ですね。タイミングに余裕のある時ほどダイレクトではなく繋げ、ということを徹底しています。これは黒田先生が来てくれて私も目からウロコでした。勿論、状況によってはリスクを負ってダイレクトということもありますが、カットマンに繋ぐことで、相手ランナーをけん制し、次の塁を許さない態勢を整えることにもなります。

管理人:なるほど。今日の練習(黒田先生がノッカーになり、塁上のランナーに対してどう対処するかの徹底反復)もそういった意図が感じられますね。
亀山監督:その通りです。とにかく、走者を刺せるかどうか、それが無理でも他の走者の進塁を防げるかどうか、という可能性を最後まで諦めずにやる意識を高く持とうということです。そういう意識があってもミスは出るものですが、考えもなくやってしまうミスとは違いますので。

管理人:そのほかにはいかがですか。
亀山監督:走塁についても意識改革が進みましたね。走者になった時にどこまでリードを取るか、ヒットを打った時にどこまでオーバーランするか、といった1つ1つのことで相手にプレッシャーを掛けることも出来ますから。去年までは、そこを割と安全策を取っていましたが、今年はその点では攻める意識が上がっています。相変わらずバントは多用しますので、ちょっとした走塁での仕掛けで相手を嫌な気持ちにさせることで、さらに1つ先の塁を狙えますし、それで相手がミスをするかもしれませんから。

管理人:投手陣についてはいかがでしょう。昨夏は松田くんが大黒柱として構えていましたが。
亀山監督:今のところ2年の井口が中心ではありますが、3年2人(右と左)と1年(右)の4人で回しています。これを夏までに中心になるピッチャーを2枚にまで絞りたいですね。バラエティがあるのはいいですが、責任の所在が薄れるようではいけませんから。

管理人:投手陣に対しての要望はありますか。
亀山監督:とにかくフォアボールは、敢えて出してもいい場面を除けば、大きなムダになりますので、そこは注意してもらいたいですね。剛球やすごい変化球があるわけではないので、制球力こそが生命線です。いかにそうしたムダを省いて、節約出来るかが大切ですね。セコい野球を目指したいと思います。

管理人:この夏に向けての目標設定がありましたら教えて下さい。
亀山監督:目標はベスト8です。これまで鶴嶺の夏の最高成績がベスト16なので、先輩たちを追い越そうと。そのためには強豪私学と当っても、投手を含めた守りで冷静に。全員が強打者というわけではないですし、必ずどこかに穴はあります。うちはビッグイニングはありませんから、1イニングに1点ずつを積み重ねて、相手を何とか3点以内に抑えることでクロスゲームにしたいですね。打撃に過度な期待はしていませんので(きっぱり)。

管理人:その目標を達成するのに不可欠な選手やプレーがあるとしたら誰、或いは何でしょうか。
亀山監督:キャッチャーでキャプテンの佐々木が肘痛からどこまで回復出来るか、というのは大きいかもしれませんね。万全なら昨年の小林に劣らない肩もありますし。
管理人:ありがとうございました。健闘を祈ります。
 



キャプテンにインタビュー
 
今年のキャプテンは茅ヶ崎市立中島中学出身の佐々木慎くん。亀山監督の話では、ようやく肘の痛みが少し回復方向になりつつある、とのことでしたが、インタビューの際も右肘をアイシングしながらの受け答えをしてもらいました。

管理人:肘の痛みはやはり気になるかな?
佐々木くん:はい。今日の練習ではそれほどでもなかったのですが、この間の練習試合の時はちょっと気になりました。

管理人:とは言いつつも、ずっとベンチにいたというわけではないよね。
佐々木くん:はい。一塁で試合に出ることもありました。
 
管理人:さて、今年のチームの特徴はどういうところにありますか。
佐々木くん:まず、活気があることだと思います。それと、黒田先生が来てくれたお陰でチームでの取り組む意識・姿勢が変わったと思います。選手の中でもショートの野崎くんなど意識の高い選手が引っ張ってくれていると思います。

管理人:練習を見させてもらっていても、そういう印象がありますね。
佐々木くん:プレー以前の問題で変化があり、隙がなくなったと思います。

管理人:佐々木くん自身が心がけていることは何かありますか。
佐々木くん:先生にはよく「優し過ぎる」とも言われますので、チーム全体のことを考えながら、厳しいことも言うようにしています。

管理人:この夏の目標を聞かせてもらえますか。
佐々木くん:ベスト8です。公立の意地を見せたいというのもあります。春の大会での横浜隼人戦では、強豪相手ということでベンチが緊張から硬くなってしまうこともあったので、そういうところから修正したいです。

管理人:目標達成のために、どういうことが必要だと考えますか。
佐々木くん:ベンチが一丸となって、皆が試合に入り込む必要があると思います。その上で、全力でやって楽しみたいですね。そのためにも、野崎に攻守ともども頑張って欲しいと期待します。
管理人:ありがとうございました。

大学やクラブチームで硬式野球を続ける選択肢はないとのこと。なので、尚更最後の夏、キャプテンの肘の痛みが薄らいでもらいたいと切望します。
 



マネージャーにインタビュー
 

左)戸塚美玖さん 右)小澤未歩さん
この日は責任マネの野口彩希さん(3年)はお休み。2年生のお二人に登場してもらいました。左のショートヘアが戸塚美玖さん、右が小澤未歩さん。二人とも茅ヶ崎市立赤羽根中学時代からの友達とのこと。

管理人:毎年みんなに訊くことだけど、どうして野球部のマネージャーになろうと思ったのかな?
戸塚さん:兄がサッカー部に入っていて、その応援に行った時などにそのマネさんと話をさせてもらったりして、マネージャーもいいなぁ、と。
小澤さん:私は中学ではテニス部だったのですが、実は小学校の時には少年野球のチームに入っていて、プレーヤーをやっていまして。で、高校に入って仮入部の時に、高校の野球部は魅力的だと思いました。

管理人:どの辺りに魅力があるでしょうか。
戸塚さん:実は野球部というと硬派で近寄りがたいイメージだったのですが、とてもフレンドリーでアットホーム的な感じがしました。それと、練習試合などで地域の人たちが観に来てくれて、地域と一体になっているのもいいですね。やる時はやる、というメリハリもいいと思います。
小澤さん:野球そのものの魅力として「最後の最後までわからないから、諦めてはいけない」というのがあると思うんですね。中京対日本文理の甲子園の決勝(2009年夏)とかも、本当に最後の1球までわからなかった試合ですし。

管理人:マネージャーという経験を活かして、将来就きたい仕事はありますか。
戸塚さん:私は人と接するのが好きなので、ホテルとかの観光業を考えています。
小澤さん:私は英語が好きなので、中学校の英語の先生になれたらなぁと思っています。

管理人:この夏、君たちが期待する選手や戦い方があれば教えてもらえますか。
二人:同じ学年ということもあるのですが、エースの井口くんに頑張って欲しいと思います。ここぞという時に力を発揮できる選手なので、彼の頑張りで強豪私学にも勝って欲しいです。

管理人:最後に、これから進学校を決めようという中学生たちに何かメッセージをお願いします。
小澤さん:選手もマネージャーも皆同じ目標を持って日々頑張っています。高校時代に成長したいと思う人は是非、鶴嶺高校野球部へ。
戸塚さん:親や先生たちも「高校時代は一生の思い出になる」と言っていますし、私自身もこの3年間が一番の思い出になるという自信があります(笑)。鶴嶺高校自体も、野球部も素晴らしいところなので、是非考えてみて下さい。
管理人:ありがとうございました。

二人とも「自分の言葉」で話そうとしてくれて、好感が持てました。また、言葉の端々から、野球及び野球部への愛が感じられ、部を側面から支えようという気持ちに溢れていました。

こんなマネージャーがいて、選手たちは幸せだね。
 

<取材後記>
タイミングの関係で黒田先生にはお話を訊けませんでした。
次回 訪問の時には是非お話を訊かせて頂ければ、と念じています。