2017.07.01up
 
甲子園を「聖地」と呼ぶことにいささかも異論はない。

数多いる高校球児のほとんどにとって手の届かない場所であり、それゆえ、手の届かない者にとっての憧憬は尋常ではない。

しかし、本当の聖地は極めて身近に存在する。

日々鍛錬し、ある時は汗を、ある時は涙を流した母校のグラウンド。

特に3年生にとって、残された日々をそのグラウンドでどう過ごすのか、それは以降の人生にも影響を与えることになろう。

のちの自分が高校時代を振り返って、「あの時は精一杯頑張れた」という思いを持てたなら、苦境にあっても立ち上がれるのではないだろうか。

ありふれているかもしれないが、若き日に宿した“熱”は生涯の財産となる。

その熱量は、エース、4番打者、控え選手といった立場に関係なく、大きくすることが可能なのだ。

願わくば、真の聖地で、土にまみれんことを。
 

◆初戦:7/9(日)11:30〜@ハマヤクスタジアム 対戦相手:横浜翠嵐高校
 
鶴嶺高校キャプテンにインタビュー
 
窪田幸生[セカンド。背番号4]

今年のキャプテンは窪田幸生くん(平塚・大洋中学出身)。
ポジションはセカンドで、昨夏からの注目選手。
平塚シニアで磨いた野球センスは高校野球でもキラリと輝きを放っている。

管理人:今年のチームをキャプテンの目で分析してもらえますか。
窪田主将:投手陣については、去年は井口さんというエースがいましたから、投手力そのものではやや下がったかもしれませんが、その分守備力が上がったので、心配はないと思います。バッティングは例年以上に時間も割いてやっているので、間違いなく上がったと思います。ティーバッティングを増やすということと、スウィングスピードを上げることに力点を置いて、逆方向に強い打球、ライナーを打てるよう心掛けています。

管理人:素人目に見ても、君の守備は野球をよくわかっているという印象ですが、守っている時の意識というのはどういうものでしょうか。
窪田主将:セカンドというポジションの性質上、グラウンド全体を見て、どこならアウトが取れる確率が高いかを考えながら守っています。

管理人:君自身、この夏に向けてこれから取り組んでいきたいのはどういう点ですか。
窪田主将:打順が2番ということもあるので、先頭が出たら、自分を犠牲にしても、うしろに回すということの徹底ですね。最低でも右打ちして進塁打にすることがチームの勝利につながると思っています。

 
管理人:目標とそれへ向けてのチームとしての課題を教えて下さい。
窪田主将:目標はベスト16です。強豪私学に名前負けしないように、いつものバントで繋いで接戦に持ち込む野球をしたいです。そのためには、ベンチ入り出来なかった3年生たち(4人)を含めてどこまで一丸となってやれるかも大事になってきます。チームの経験値は高いので、緩まないよう、夏に向けて厳しくやりたいと思います。

管理人:ちなみに、将来は何になりたいとか考えていますか。
窪田主将:はい。体育系の大学に入って、高校の体育の教員になりたいと考えています。野球の指導者になることが目標です。

管理人:ありがとうございました。将来へのビジョンもしっかりしている窪田キャプテン、夏の健闘を祈ります。



マネージャーにインタビュー
 
鶴嶺高校の今年の3年マネは徳江瑠奈さん(左)と井村遥菜さん(右。責任マネ)。

「ルナ・ハルナ」...

まるで女性デュオのような響きだ。
(あくまで管理人の個人的感想です)

徳江さんは中学時代(寒川中)は美術部。
井村さんは北陽中学の時はソフトボール部でプレーヤー。
 
管理人:そもそもなぜマネージャーに?
徳江さん:休みの日でも家でゴロゴロしていることが多いので(笑)活動日が多い部活をと思って。ただ、野球のルールはほとんどしりませんでした。
井村さん:中学時代にプレーヤーとしてやれることはやったので、今度は支える側に回りたいと思いました。野球が好きですし、忙しくないとやりがいもないかと思って、マネージャーになりました。プロ野球も好きで、巨人ファンです(笑)。

管理人:選手も多いので、いろいろと苦労することもあるよね。
徳江さん:今は選手57人、マネージャー6人です。初めの頃は選手の顔と名前が一致しないし、ルールはなかなか覚えられないし、ノックの時のトスされるボールも取れなくて...
井村さん:時間がない、というのが一番ですね。それと、部員の役に立ちたいと思ってやったことが、ありがた迷惑と受け取られるような時はツラいですね。

管理人:これから残された時間でやっておきたいこと、活躍して欲しい選手を挙げてもらえますか。
徳江さん:残された時間を部活に捧げたいです。選手や後輩に伝えられることは伝えてゆきたいと思います。活躍して欲しいのは外野の丸島(拓馬くん)です。以前、走塁ミスをしたことがあったので、それを取り戻してほしいなぁと。
井村さん:難しいことですが、これから部員がピリピリしてくる時期ですが、それでも今まで通りに接することでしょうか。活躍してもらいたいのはピッチャーの加部(翔太郎くん)です。昨年の夏・秋、今年の春と大切なところで打たれているので、最後に最高の輝きを見せて欲しいです。

管理人:ありがとうございました。最後の夏に向けて、悔いのない準備をされて下さい。


 
亀山監督にインタビュー
 
鶴嶺野球部を率いて8度目の夏。
一昨年・昨年は初戦敗退も、経験値の高い3年生を中心に捲土重来を期す。

管理人:春はベスト32。シード権を懸けた戦いで強豪向上高校に7回まで7−4でリード。勝つチャンスは十分ありましたね。
亀山監督:ええ、あれはウチが勝つべき試合だったと思います。7点取ったら勝たなくてはなりませんね。先発の柿澤(立樹くん。2年)が左ピッチャー特有の打ちづらい遅い球で押えていたのですが、1試合全部任せられるほどのスタミナがないので、加部(翔太郎。3年右投げ)にあとを託しました。立ち上がりに難もあって、つかまって同点にされました。で、延長戦でやられましたね。

 
管理人:そこからどんな課題や成果が見えたでしょうか。
亀山監督:課題はたくさんありますが、少なくとも向上さんから7点取れたということは、打撃についてはそこそこ得点できるイメージがあります。もちろん、打撃は水物ですから、バントという基本戦術に変わりはありませんが。投手については、加部がもう少し制球力をつけるということと、加部・柿澤の2枚だけでなく、実戦で投げられるピッチャーをあと何枚か作っておきたいですね。今のところ、小川(雅弘くん。3年右投げ)、小島(遼太郎くん。3年左投げ)、岩野(隆広くん。3年右投げ)といったあたりを練習試合では試しています。

管理人:キャプテンの窪田くんについてはいかがですか。
亀山監督:歴代のキャプテンの中でもこれほど全幅の信頼を置いたキャプテンはいませんでした。私がグラウンドにいない時でも、私の意を汲んで動いてくれるので、助かります。

管理人:チームの目標はベスト16とのことですが、それを達成するために何が必要でしょうか。
亀山監督:現在のレギュラーの多くが昨年の夏を経験しているメンバーなので、その経験値を生かして、落ち着いて普段の野球をやることかと思います。

管理人:ありがとうございました。大会での健闘を祈ります。
 


 
熱き新任教師。鶴嶺に新しい風を起こすか
 
その男の名前は山下大輔。32歳。

どこかで聞いたたことがあるような名前だと思ったら、元大洋ホエールズの名内野手と同姓同名であった。

山下大輔先生は今春より鶴嶺高校に赴任した保健体育の先生で、昨夏は西浜高校をベスト16に導く手腕を見せた。
静岡県の富士宮北高校から東海大学という球歴の32歳。
現在は主にBチームの指導に当たられているとのこと。

管理人:初めまして。この春から鶴嶺野球部をご覧になっての率直な感想をお聞かせ下さい。
山下先生:部員が多く、活気がありますね。戦力的にも平均的に力があって、公立校の中では上位ではないでしょうか。

 
管理人:部員たちが目標として掲げているベスト16へ進むために、昨夏実際に進まれた先生から見て、何が課題だと思われるでしょうか。
山下先生:ベスト16以上に行くためには強豪私学とも戦うことが想定されます。そういう試合ではミスした方が負けるので、投手力をもうワンランク挙げる必要はあります。練習ではまだ隙がありますので、そこを詰めてゆくことと、あとは気持ちの問題として、3年生が一致団結することが大切でしょうね。ベンチ入りした者はベンチに入れなかった者への責任を感じるべきですし、ベンチから外れた選手たちがどれほどチームに対して協力出来るかも大きなカギになります。

管理人:教師になったのは野球の指導を望んだからかと思いますが、先生が部員たちに指導する上で大切にされていることを教えて下さい。
山下先生:まずは単純に野球がうまくなって、試合に勝つという喜びを知ってもらいたいですが、野球をやれる期間はそう長くはないので、社会に出た時に人として活躍できるようになってもらいたいですね。野球をしっかりやることでいろんなことが変わってゆきますから。そういう意識を持ってもらいたいですし、それなしに自分も指導は出来ないと思います。

管理人:熱い教育観も語って頂き、ありがとうございました。またいずれお話を訊かせて頂く機会もあるかと思います。その日を楽しみにしていますね。


 

 
◆初戦:7/13(木)13:30〜@相模原球場 対戦相手:県立川崎高校
 
北陵高校キャプテンにインタビュー
 
中島 舜[キャッチャー。背番号2]

キャプテンの中島くんは地元茅ヶ崎の浜須賀中学出身。
中学時代はシニアの名門「湘南クラブ」で硬式野球を経験、当時のチームメイトは湘南高校・日大藤沢・平塚学園・鎌倉学園などでそれぞれキャプテンを務めているとのこと。
そういうハイレベルな仲間と切磋琢磨してきたことは、彼にとって、そして北陵というチームにとっても大きな財産となっているだろう。

管理人:君はどうして北陵を選んだのかな?
中島主将:公立へ行って強豪私学を倒したいという気持ちがありました。

管理人:ポジションはずっとキャッチャー?
中島主将:最初はショート、サードをやっていたのですが、肩の強さを見込まれてキャッチャーにコンバートされました。硬式のボールは縫い目に指が引っ掛かりやすかったり、ボールが軟式よりも重かったりして投げやすく感じられて、ボールを投げるのが楽しかったですね。ただ、投げすぎたからか、肘と肩をけがをして、外野に回ったりもしました。北陵に入った当初は主に内野だったのですが、同期にキャッチャーがいないこともあって、自分がまたキャッチャーをやることになりました。

 
管理人:キャッチャーというポジションの面白さはどこにあるでしょうか。
中島主将:キャッチャーだけは他の8人とは違う方向を向いているということもあるので、チームの要、勝負に強くかかわるポジションだと思っています。

管理人:今年のチームの特徴を教えて下さい。君が引っ張ることになる投手陣はいかがでしょう。
中島主将:投手では背番号1の角(太貴くん。右投げ)が春・秋とも中心でやってきました。スピードも上がり、変化球もキレがいいです。何よりも、ピッチャーに不可欠な魂、熱さを持っていると思います。リリーフの齊藤(健太くん。右投げ)は野球センスに溢れています。

管理人:バッティングはどうですか。
中島主将:出塁率の高い1・2番が出て、自分を含めた3〜5番で打って返すというのが理想的です。実際には、秋の大会で星槎学園の本田くんを打ち崩せなかったりと、まだまだな部分もありますが。様々な種類のティーバッティング、スウィングスピードの数値化などで競争意識を持つようにしています。

管理人:これから大会本番に向けてどういった課題と向き合おうとしているでしょうか。
中島主将:まずは練習試合で、どんな状況になっても勝つ、という癖をつけておきたいです。個々の課題はもちろん人によって違いますが、個人錬を含めた日々の練習で、その課題を洗い出して、似た課題を持つ者どうしでペアを組んで取り組んで、克服したいです。主将として打席・ベンチで、キャッチャーとしても、声を出して引っ張りたいです。

管理人:チームとしての目標があれば教えて下さい。また、「打倒!強豪私学」を果たすための心の持ちようをお聞かせ下さい。
中島主将:チームとしての目標は北陵史上ベストの記録を塗り替えよう、ということでベスト8を目指しています。相手が強いところであっても、「試合前に諦めない、自分に負けない」という意識でやりたいと思います。普段のトレーニングから自らに克つことをやってきたという自負はあるので、それを出せるように頑張ります。

管理人:最後に、これから高校進学を控える中学生たちに、北陵野球部のよさを伝えて下さい。
中島主将:公立であっても、きちんと練習が出来る環境が整っていて、よい指導者がいて、意識が高いところです。今年は特に自主性も高く、練習メニューを選手たちで考えたり、ミーティングでも自分の言葉で話すので、人前で話す力も育てられる場所だと思います。

管理人:ありがとうございました。大会での活躍を祈ります。



小澤部長にプチインタビュー
 
昨夏は監督としてチームの指揮を執られた小澤和之部長。
昨年赴任された中嶋先生(前茅ヶ崎高校監督)が昨秋より監督となり、小澤先生は部長に。
校内の仕事で多忙を極めるため、グラウンドに出られない日も多いそうだ。
そんな中、少しではあったが、お話を聞かせてもらった。

管理人:先程、キャプテンの中島くんの話を伺いましたが、自分の言葉で話そうとする姿勢はなかなか立派だと思いました。先生から見て、彼のキャプテンシーはいかがですか。
小澤部長:強いリーダーシップがあって、キャッチャーとしてもバッターとしても、練習でもゲームでもチームを引っ張っている存在ですね。高いキャプテンシーがあると思います。

管理人:チームの目標はベスト8ということですが...
小澤部長:優勝を実際に狙えるチームというのはある程度限られますから、現実的な目標だと言えるでしょうね。

 
管理人:期待している選手についてお聞かせ下さい。
小澤部長:ピッチャーでは角(太貴)が一番成長しましたね。スピードも最もあります。彼が中心になって夏を戦うことになろうと思います。あと、レギュラーではありませんが、副主将の原田(拓人)は声を出して、チームに元気を与える存在なので、雰囲気を盛り上げてもらいたいですね。

管理人:最後に、今年のチームに対する期待をお願いします。
小澤部長:個々の能力はそれほど高くありませんが、まとまりのよいチームです。何とか夏までにいい流れを作って、成長してもらいたいと思います。

管理人:ありがとうございました。
 




6/10鶴北戦から
 
結果は6−5で北陵の勝利。

が、この時期の練習試合の勝ち負けにそれほど大きな意味はないとも考えられる。

積年の慣れからか、北陵がバントを採用し、鶴嶺が「ここはスクイズかな?」という場面でバントをしなかったことに、ちょっとした衝撃を覚えたことはお伝えしておこう。
  
  
 
毎年、この鶴嶺対北陵が行われる日は夏の大会の抽選日と重なるので、両チームともキャプテン不在。

また、北陵のエース角くんが故障のため投げられず、チームが仕上がった状態ではないこともあるので、この試合を以って判断出来ないところもあるが、鶴嶺2番手で投げた柿澤くん(2年)はなかなか面白い存在かと。

夏の大会でも加部くんと両輪で勝利を掴んで欲しいと願います。
 
  
鶴嶺 左)先発・加部くん 中)2番手・柿澤くん 右)「鶴嶺あるある」の送りバント
  
北陵 左)先発の服部くん 中・右)昨年から少しずつ増えたバント