県大会インタビュー&写真
北陵ウィンドアンサンブル ◇鶴嶺定演 ◇茅ヶ崎吹奏楽部 ◇寒川吹奏楽部 ◇西浜吹奏楽部

 7月24日・25日の2日間に渡り、第四回湘南吹奏楽コンクールが茅ヶ崎市民文化会館にて催された。残念ながら、ホール内での撮影が禁止されているため、演奏風景・表彰場面はお届けできないが、熱気溢れるコンクールであった。

 このコンクールは8月9日及び11日に行われる神奈川県吹奏楽コンクールの予選を兼ねたもので、A編成(50人まで)から2校とB編成(35人まで)から3校の県大会出場校を決める、という厳しさもある。
(ちなみに、県大会から先に、関東大会・全国大会が控えている)

 各校吹奏楽部にとっては、春に行われる定期演奏会と並んで大きなイベントでもあり、部員にとっては晴れ舞台だとも言えよう。

 「部活.ネット」では春の定演からコンクール前にかけて茅ヶ崎市内各校の吹奏楽部を取材し、このコンクールへの意気込みなども聞いているだけに、どの学校も普段の演奏ができることを願って、文化会館へとお邪魔した。
 
 結果とともに、演奏後の記念撮影といろいろな人へのインタビューを掲載し、少しでもその雰囲気を伝えたいと思う。

 
7月24日 高校A部門[50人編成]
 
 A部門は50人編成ゆえ、部員数の多い学校でなければ出場すら叶わない。また、課題曲(5曲の中から選ぶ)と自由曲を演奏することもあり、2・3年生が中心となるケースが多いようだ。

 今回は、日大藤沢・湘南学園・北陵・湘南・茅ヶ崎・慶応湘南(演奏順)の6校が出場。特に、茅ヶ崎高校は10年連続県大会出場、4年連続東関東大会出場という偉業を継続中であり、各高校の目標ともされている。

 しかし、それだけに部員に掛かるプレッシャーも大きく、少し可哀相な面もある。果たして、茅ヶ崎の演奏はいかに。また、他校がどこまで健闘を見せるか、ということも注目だ。
 
 
茅ヶ崎北陵高校
 
 湘南吹奏楽連盟理事長でもある丸山透先生率いる北陵高校ウィンドアンサンブル。昨年は金賞に輝きながら、僅かの差で県大会を逸しているので、「今年こそ県大会へ」という意気込みも強い。

 春の定演前から、何度か丸山先生及び部員たちとも話をさせてもらっているが、とにかく“熱い”というのが最大の印象で、部員数も百名を超える大所帯。圧倒的に女子部員が多い中、部長の松本くんを中心に大きな音量での演奏に挑んだ。

◇課題曲:イギリス民謡による行進曲[高橋宏樹作曲]

◇自由曲:交響曲第一番「大地、水、太陽、風」より「大地」[P.スパーク作曲]

 
北陵高校・丸山先生へインタビュー
 
Q:今日の出来はどうでしたか?
A:100%のベストパフォーマンスでした。

Q:演奏前のみんなの雰囲気はどうでしたか?
A:いつも通りでした。緊張した様子も見られず、逆に少しくらい緊張したら?という感じでした。


Q:指導面で苦労されたことは?
A:多くの時間をとられること以外、苦労はありません。生徒達と一緒にやれることが、楽しいし嬉しい。自分の一生懸命な姿を見てくれて、生徒も一生懸命やってくれる、100人もの生徒がついて来てくれる、本当に嬉しい。今日も3年生全員が裏方に回り、塾なども休んで来てくれている。そういう裏方がいないと、演奏は出来ない。そんな生徒を見ているだけで、嬉しい。

Q:このコンクールへ出場するにあたって、意義などは?
A:いつも言っていることは、出るからにはベストを!という事です。素人の演奏をお金を払って見に来てくださる方がいるのだから、嬉しいし感謝している。恥ずかしい演奏をするのであれば、いつでもやめる!と言っています。


 
北陵高校部長・松本悟くんにインタビュー
 
Q:今日の出来はどうでしたか?
A:練習の成果が出せて、課題曲、自由曲ともに良く出来ました。


Q:演奏前のみんなの雰囲気はどうでしたか?
A:緊張していたが、本番に向かってきちんとした心持で臨めました。

Q:練習で苦労した点は?
A:音量を出すという目標を中心に練習をしていた。ホールでの練習の時はよかったが、学校に戻ると、音を気にしないと小さくなってしまい、大変でした。

Q:夏休みの練習は?
A:午前がB編成、午後がA編成で、毎日練習します。

Q:先生の指導はどうでしたか?
A:いつも通り、あつく、熱心に指導をしてくれました。

Q:このコンクールへ出場するにあたって、意義などは?
A:結果だけが全てじゃない!1年を通して、練習の成果を発揮できるように頑張れたらいいとい思います。

茅ヶ崎高校
 
 
 春の定期演奏会では大感動のステージを見せてくれた茅ヶ崎高校。冒頭の通り、現在は4年連続関東大会出場の偉業を継続中。

 同校OBで日本フィルハーモニー主席クラリネット奏者の伊藤寛隆さんの指導・指揮も今年で18年になる。当然、今年も関東大会以上を、という意気込みでステージに上がった。

◇課題曲:ウィナーズ[諏訪雅彦作曲]
◇自由曲:アルメニアン・ダンス パートT[A.リード作曲]

茅ヶ崎高校指揮・伊藤寛隆さんにインタビュー
 

名門ゆえの厳しい自己採点か?
Q:今日の出来はどうでしたか?
A:20点。本番というのは練習のようにはなかなかいきませんね。

Q:演奏前のみんなの雰囲気はどうでしたか?
A:緊張していました。緊張するから集中力がなくなる、いつもこんな感じになってしまいます。

Q:指導面で苦労されたことは?
A:合奏も5回しか出来ず、十分な練習時間が取れなかった。それを考えたら、今日はよく出来た方ですね。


★結果★
◇金賞・・・茅ヶ崎北陵(県大会代表)、湘南(県大会代表)、茅ヶ崎
◇銀賞・・・日大藤沢  ◇銅賞・・・湘南学園、慶応湘南


 北陵が県大会へ、茅ヶ崎は金賞を獲得しながらも県大会へは出場できず...。
 スポーツでも同じことが言えるが、ある地域からの代表枠が限られていると、そこには必ず明暗のコントラストができる。今回、茅ヶ崎高校が県大会出場を逸したのは、彼らのレベルが下がったわけではなく、他校が茅ヶ崎に追いつき追い越せと切磋琢磨した結果なのである。来年以降、茅ヶ崎が一層の巻き返しを図るのは言うまでもなかろう。
 北陵高校・湘南高校の皆さん、おめでとうございます。県大会でも、ベストを尽くして普段の演奏ができるよう、祈っています。


7月25日 高校B部門[35人編成]
 
 部員数が30名前後の学校は、このB部門に参加する。また、茅ヶ崎や北陵のように数多くの部員を抱えている学校はA・B両部門に参加することもある。指導者はかなり大変なはずだ。

 昨年から西浜高校がコンクールへと復帰し、今年はアレセイアが初出場。参加校も増えてきて、激戦が予想されるB部門。さてさて、どうなったのか...
 

 
茅ヶ崎西浜高校
 
◇海に刃向かう剣[J.L.ホゼイ作曲]

 昨年からコンクールに復帰。顧問の渡辺良子先生の熱心な指導により、部員たちのモチベーションも上昇中。

 部長の菊池真理子さんは「コンクールに出られなかった時代のことを思うと夢のよう。いい緊張感の中で演奏できて、よかった。」と語ってくれた。
写真は3年生部員たち。彼女らはコンクールに出られなかった、ちょっと辛い時代を知っている。
 
インタビューに応じてくれた西浜部長の菊池真理子さん(左)、鶴嶺堀内先生(右)

 
鶴嶺高校
 
◇吹奏楽のための土俗的舞曲[和田薫作曲]

 部員不足が心配された鶴嶺であったが、25名で頑張った。今年からは堀内昌之先生が指揮を振ることになり、部員も増えそうな気配が。

 堀内先生のモットーは「常に演奏者の目線で。よりクリエイティブに演奏を高めてゆく。」とのこと。ご自身はコントラバス奏者でオケでステージに立つことが多いことから導かれた哲学なのだそうだ。

 「コンクールは絶好のチャンスですね。いい演奏を中学生たちにも聴いてもらって、鶴嶺吹奏楽部の姿勢を知ってもらえたら、と思います。」

茅ヶ崎北陵高校
 
 
◇序奏とカプリス[C.カーター作曲]

  1年生中心のB編成を引っ張るのは2年生の三人組、ユーフォニュームのあっこさん、トランペットのぼんさん・ゆっこさん。
(勿論、本名ではありませんよ)

 「自分たちの力は出し切れたと思います。来年も是非コンクールに出たい。」とのこと。


 それにしても、なんという部員の多さなのだろう...

 
茅ヶ崎高校
 

◇喜歌劇「メリーウィドウ」セレクション[F.レハール作曲]

 昨日、A編成で県大会出場を逃すという、よもやの結果に指揮者・伊藤さんの気持ちは察するにあまりある。

 幸い、B編成はオール1年生。生徒たちが「BはBよ」と開き直れるかどうかに、普段の力が出せるかどうかが掛かってくる。


寒川高校
 
 
◇交響的断章[V.ネリベル作曲]

 演奏終了後、最も元気がよかったのがこの寒川高校。

 顧問の相川先生に「演奏はどうでした?」とお尋ねしたところ、「あの子達の笑顔を見てやって下さい。」のひと言。

 指揮の岡田
寛昭さんは「力は全て出せた。満点です。完璧です。これで県大会へ出られなかったとしたら、仕方ない、と思える出来栄えでした。」と喜びを爆発させていました。

★結果★
 

◇金賞・・・茅ヶ崎北陵(県大会代表)、茅ヶ崎(県大会代表)、寒川(県大会代表)、鶴嶺
◇銀賞・・・藤沢西、大清水、藤沢  ◇銅賞・・・茅ヶ崎西浜、アレセイア


 茅ヶ崎高校は力からすれば順当なのであろうが、昨日の今日、だけに指導者・生徒ともによく頑張ったと賞賛されるべきであろう。
  また、5年前のコンクールでは部員がたった6名しかおらず、他の部から借りてきてやっと出場にこぎつけた寒川高校は、現在部員を31名まで増やし、ついに念願の県大会への出場権を獲得した。当時からずっと指導を続けてきた指揮の岡田さん、顧問の相川先生らの努力が結実したものと、絶賛したい。
 鶴嶺高校も少人数ながら大健闘の金賞は称えられるべきである。西浜も渡辺先生の指導の下、次代の寒川を目指して頑張ってもらいたい。
 県大会では、北陵高校を含めた3校の健闘を祈ります。


その他いろいろと by管理人
 

神沢先生と管理人


こんなふにして入場していたのか!


ある意味で演奏以上に大変なのが搬入・搬出。
お疲れ様です。

   仕事の都合上、24日のA編成には行けなかったのが残念ですが、25日にいろいろな人にお話を伺ってみました。

★茅ヶ崎高校顧問・神沢先生
(入場料金の計算をしながら、目ざとく私を見つけて、おいでおいでをされました)
 「いやぁ、A編成が県大会に出られないのは11年ぶりですよ。B編成は1年生ばっかりだし、どうなるかねぇ...。」と開演前におっしゃってました。
 B編成の県大会出場おめでとうございます。

 また、9月に文楽の取材に伺いますね。

★茅ヶ崎高校副部長・石川祐美さん
(B編成の記念撮影の場所で、彼女を見かけて尋ねてみました)
 「昨日の結果(県大会に出場ならず)について、今は、少し冷静に受け止められる?」
 「少し先(県大会や関東大会)を考えて練習していたところがあったかも...。コンクールは終わったけど、やり残したことがあるので、この夏休みも頑張りたいです。後輩への指導もありますし。...夏休みのスケジュールも空けてあったんですね...。...来年に向けて頑張ります。」

 春の定演の際も、彼女の頑張りに感動したことを覚えています。元気を出してこれからの音楽ライフを築いて欲しいと切望しています。

★入場って大変なんだぁ
 出番を待つ学校はプラカードに先導されて、ステージの袖へ入ってゆきます。こんなふうになっているとは知りませんでした。ホールの中にいたらわかりませんわな。
 ここから徐々に緊張が高まってゆくんでしょうね。

★楽器の搬入・搬出
 パーカッションをはじめ、多数の楽器が専用のトラックにて運ばれます。考えてみると、演奏そのものより、こちらの方が大変だったりしますね。

丸山透先生(北陵) 湘南吹奏楽連盟理事長としての総評
 
 今回、茅ヶ崎高校A編成が県大会出場を逃してしまったということは、湘南吹奏楽連盟の宝を失くしたという感じがして、残念な気持ちでいっぱいです。
  これからの1年が茅ヶ崎高校にとって重要な時間となると思います。茅ヶ崎高校がこのままのわけがないと思っています。茅ヶ崎高校には、各校のいつも目標であって欲しいと思います。来年は県大会に出場できるように、是非頑張って欲しいと思っています。(これは、理事長としての発言です。北陵高校吹奏楽部顧問としては、「来年も絶対に負けないぞ!」という気持ちです。)
  また、寒川高校が県大会に出場できることは、とても嬉しいです。演奏の一生懸命さが伝わってきました。西浜高校も、初出場のアレセイアもよく頑張ってくれていました。

演奏を終え、記念撮影に収まる北陵ウィンドアンサンブルA編成のメンバー諸君

★★★★★ベストの演奏でした★★★★★
 



3年生部員たち。これから受験ですね。
部活で身につけた集中力で頑張って下さい!

 
 この日、管理人は本業である学習塾の仕事で身動きがとれず、かつての教え子「ゆりちゃん」にピンチヒッターで取材をお願いしました。

 彼女自身が北陵ウィンドアンサンブル出身なので、管理人が行くより余程スムーズに事が運び、写真もしっかりと撮ってきてくれました。優秀です。

 9日に行われたB編成部門で銅賞(一緒に参加した茅ヶ崎・寒川両校も銅賞でした)。3年生中心のA編成ではそれ以上の成績を、と意気込んで北陵ウィンドアンサンブルが演奏に臨みました。

 県大会の壁はなかなか厚く、結果はB部門同様の銅賞でしたが、精一杯演奏した彼らは笑顔でインタビューに応じてくれました。

 指揮を執った丸山先生は管理人と同じく腱鞘炎を患っているらしく(私のように慢性にならないことを心から祈ります!)、地区大会の際も痛々しかったですが、ベストの演奏ができたと語っています。

 丸山先生と部長の松本くん(通称さとるん)へのインタビューを掲載致します。

=北陵ウィンドアンサンブル部長 松本悟くんにインタビュー=
 
Q:今日の演奏の出来はどうですか?
A:最高でした。悔いの残らない演奏ができたと思います。
Q:地区予選から今日まで、何を重点的に練習してきましたか?
A:地区では音量を重視していました。県大会へは響きや音程など、基本に戻って丁寧に練習しました。今日の演奏ではそれができたと思います。
Q:北陵では本番前に急成長するそうですが、今回もそうだったのでしょうか?
A:今回もホール練習をしましたが、その影響は大きいです。疲れが出てきたり、フレーズの終りでピッチが上がってしまうのが、この練習で抑えることができました。和音の音程やホールでの響き、余韻を聴くこともできました。今日の演奏も最後の余韻の響きがよかったと思います。
 

演奏後、爽やかな笑顔の松本くん
 

丸山透先生(写真は定演の時のものです)

=北陵ウィンドアンサンブル顧問 丸山透先生にインタビュー=
 
Q:今日の演奏の出来は?
A:あれ以上の演奏も、あれ以下の演奏もできません。私たちはいつもベストの演奏をします。
Q:二年前と同じ自由曲でしたが、当時と較べて意識したことは?
A:北陵はスパークの作品をテーマにしてきました。次回は新しい作曲家に取り組もうと思っています。
Q:地区予選が終わってから今日まで、何を重点的に取り組みましたか?
A:基礎練習。今までやってきたことのやり直しをしました。
Q:B編成の県大会結果については?
A:B編の結果を受け止めて、(A編成の)生徒たちは逆にテンションが上がっていましたね。
Q:今日の演奏を振り返って、いかがでしたか?
A:湘南吹奏楽連盟の代表として何とか責任を果たす演奏ができたと思います。結果はどうあれ、コンクールの練習を今後の演奏に活かしたいです。
 地区予選は思いっきりまっすぐ音を出すようにしました。表現がまとめきれませんでしたが、スパークの曲は皆、好きなようなので、回数を重ねるうちに身についていきました。よい意味で柔らかい音が出るようになりましたね。北陵はこれからもどんどん成長するバンドです。
 去年から、とにかくたくさんの3年生がコンクールを目指しているので、来年は3年生全員が残って欲しい。私はコンクールで何度も指揮棒を振ってきましたが、今までのキャリアの中で一番の演奏ができました。


 丸山先生、部員の皆さん、お疲れ様でした。今後もいろいろとイベントがあるようですね。北陵らしい演奏で、また、感動させて下さい。
 部活ネットでは、北陵ウィンドアンサンブルの活動を今後も応援してゆきます!