今年もそういう季節になった。
「部活ネット」創設以来、記念すべき10度目の夏が駆け足でやって来た。

グラウンドに長い影を落とした野球少年たちの、崇高なるカウントダウンが始まる。

「このチームで野球をやれるのはあと○○日しかない」
「硬球を使った本気の野球はこれが最後」
「勝って校歌を歌いたい」

3年生たちは不可避なXデーを少しでも先延ばししようともがく。

そして、そのもがきやあがきこそが、少年を大人にする。

6月9日(土)、第94回全国高校野球選手権神奈川大会の組み合わせが決まった。

強豪と称されるチームにも、弱小と呼ばれるチームにも、それぞれの思いが宿る。

部活ネットでは、今まさにその場にいる高校生たちの声に耳を傾け、その思いを汲み取りたいと願っている。
 
2012.06.17管理人・記

第94回高校野球選手権神奈川大会の組合せ[外部リンク]

2012.07.01up
 
【初戦の相手】湘南工大付属高校−逗葉高校の勝者
7月13日(金) 13:30〜 於:藤沢八部球場 

【監督】松島勝司先生 【部長】馬場祐一先生 【主将】青柳秀隆君 
【これまでの戦績】だいたい五分(by松島監督) 【部員数】選手45名、マネージャー4名
 
バント封印...強豪私学に勝つためには“5点”が勝負
 
監督の松島先生が北陵に赴任されて9度目の夏。

管理人はその全てを見てきたという自負だけはある。

そして、この監督の野球観というのも何度も繰り返し訊かせてもらったので、場合により、部員よりもよくわかっていたりもする。

それでも、選手は年々3分の1ずつは入れ替わり、前年の手法が通じないケースも多々あるわけで、そうしたジレンマや、或いは希望の光といったものも、少し離れた位置から、ひっそりと感じてきた。

さて、今年のチームは...
 
上の写真は管理人が北陵に取材しに行った日、しばらく全力での投球を控えていたエースの池田くん(2年)に対してアドバイスを送る松島監督。

そろそろ練習試合で投げさせるとのこと。

管理人「今年のチームについてお聞かせ下さい。」
松島監督「ん〜、打てないですね。」

ある意味、予想された答えではあった。

管理人「それでもバント戦術は採らない、と?」
松島監督「ええ。 強い相手とやることを想定すると、バントで進めて仮に1点取っても、相手を1点では押えきれませんから。終盤競っていての1点勝負の時ならわかりませんが。」

松島監督の脳内ワールドは「強豪私学を倒すために、どうするか」 を起点として全てが動き始める。

公立高校をある一定レベル以上に育てた後、多くの指導者がそう思うものらしい、というのは理解できるし、実際、これまで北陵野球部は公式戦に於いて、武相、鎌倉学園といった甲子園経験のある古豪を倒したという歴史を持つ。

その際も相手を1点・2点に押えたのではなく、バッティングとバントをほとんど絡めない戦術・采配で勝ってきた次第だ。

そこに全く迷いがないわけではなかろうが、少なくともグラウンドで展開される野球にバントという戦術は例外的なものであり、管理人が松島監督が就任以来8回見てきた夏の大会で、本気の送りバントが敢行されたのは2005年の愛川高校戦だけである。
(見てない試合もあるから断言出来ませんが...)

だから、わかってはいるのだが、念の為、松島監督にもう一度だけ尋ねておこうかと考えたわけだ。

「バントはしないんすか?」と。

というのも、ちょっと下のスコアを見てもらいたい。
 
 
これは4月21日に横浜市立南高校グラウンドで行われた春季大会県大会1回戦(対弥栄高校)のものである。

結果だけ言えば5−0で北陵が負けた試合である。

管理人はこの試合を観に行き、今年のチームがどういった戦いぶりなのかを確かめようと思っていた。

問題のシーンは3回ウラに訪れる。
この回先頭の2番秋山くんが右中間にツーベースを放ち、無死二塁という絶好のチャンス。
ここが試合前半の山場になるであろうと予想された。

この時、管理人の背後には創学館高校関係者が陣取っており、「ここは北陵さん、送りでしょ。送って1点を取らなかったら流れが変わるところだし。」とのたまっていた。

管理人は「ん〜、確かにね。でも、予想としては打たせると見たね」と独白していた。

そして、結果は後続の3番深澤くんがショートゴロ、4番石原慶くんがファーストファールフライ、5番柿澤くんがセカンドゴロで、ランナーは動けず。

4回オモテに3点を先制されたのには、そうした背景があったのだ。

だから、どうしてもこのことについて、松島監督に訊いておきたかった。

管理人「あの時、バントは考えませんでしたか?」
松島監督「ええ、全く(キッパリ)。」

実はそれに続く4回ウラにも北陵は無死一・二塁のチャンスを作るが、当然の強攻で、結果は無得点。

これを結果だけから「もっと別の策があったのでは?」と語ることは簡単だろうが、管理人は「松島コンピュータは、3回はクリーンアップの3人がバッターであり、4回は3点先行されてしまったので、バントの場面ではないと判断する」という予想で、それは当たった。

9回を投げ切った池田くんは、あまり調子がよいとは見えなかったが、それでも最低限度の仕事はしており、あとは「打」がひと皮剥けて爆発するのを待つばかりだ。

それでも、夏は僅差の場合にはバントも織り込み済みであるのは言うまでもない。
あくまで強豪私学に勝つには5点を取るだけの打力と球際の強さが求められる、ということだ。

松島監督「できれば2度・3度得点機をモノにしたいですね。1度だけの得点を守りきれるほど、うちの投手を含めたディフェンスはよくないですから。」

さあ、初戦は7月13日(金)。
藤沢・八部球場で漲る打力と球際の強さを見せて欲しい!
 

加藤貴明コーチに訊きました
 
北陵野球部OBで現大学2年の加藤コーチ。

北陵で連綿と続く「OB学生コーチ」の系譜に名を連ね、伝統の一翼を担う。

管理人「卒業してからしばらく経つと、よくチーム状況が見えるかと思いますが、現チームは加藤コーチの目にはどう映りますか?」
加藤コーチ「近年の北陵は悪い意味での“良い子”が多く、群れてしまう傾向があって、自己主張できる選手が少ないですね。」

管理人「なるほど。空気を読んで、もめごとにならないようにするといったケースが多いということですか?」
加藤コーチ「3年の控え選手があまりガツガツしないですし、もしかするとエースの池田も(言いたいことを)ちょっと抑えているのかもしれません。」

管理人「コーチから見た現チームのよかった試合は?」
加藤コーチ「春の地区予選の湘南工大戦(4−1で勝利)はそれぞれの選手が力を出した試合だと思います。池田の投球も気持ちがこもっていたし、バックの選手も気合いが入っていた試合でした。」

管理人「つまり、あるきっかけでよい方向に回り出すと、かなり力も出せる、と?」
加藤コーチ「その通りです。逆に言えば、ちょっと悪い方向に回り始めると、諦めも出てしまうこともあります。そこはここ数年の北陵の課題ですね。」

管理人「夏に向けて、何をどうすることが大切だと思いますか?」
加藤コーチ「相手チームがどうの、というより、自らの力をどこまで出せるのか。個々の力を出せるだけの反復や精神面が大切だと思います。これまでも持てる力の2〜3割しか出せていないケースもありましたから。」
 
管理人「期待する選手がいたら教えて下さい。」
加藤コーチ「3年深澤です。彼は1年生の時からベンチ入りして以来、ずっと試合に出続けている主力であるがゆえ、精神的に背負うものも多く、ちょっと気持ちが追い込まれているところもあるようですから。ただ、彼が存分に力を発揮することでチームが活気づきますので、何とか持てる力を発揮してもらいたいですね。」

管理人「ありがとうございました。また試合会場で会いましょう。」

加藤コーチが3年生だった一昨年の夏、北陵は初戦敗退となってしまった。
その悔しさをコーチとして晴らしてくれることを祈ってます!

部長の仕事...それは裏方に徹すること by 馬場祐一部長
 
6月17日(日)北陵グラウンドで行われた対鎌倉高校戦の試合中(!)、馬場部長のお話を久し振りに訊かせてもらう機会に恵まれた。
(前回のインタビューはこちら

管理人「試合中に申し訳ありません(汗)」
馬場部長「いえ、逆に試合中はあまりやることがありませんから(笑)」

管理人「部長から見ていて、今年のチームはどのように映りますか?」
馬場部長「2009年の国正世代(国正くんは当時のエースで、現在は同志社大学で投手として野球を続けている)以降はちょっとガッツが足りないですね。それが接戦を落とす原因になっていて、近隣の藤沢西などと比較すると、そうしたあたりで劣っているのが現状かと思います。」

管理人「どこに原因があるのでしょうか?」
馬場部長「与えられ、受け取ったものはよくわかるけど、イマジネーションが足りないということでしょう。」

管理人「例えばどういったことが挙げられますか?」
馬場部長「そうですね、例えば今日は練習試合であるにも関わらず、審判員の方たちがたくさん来て下さっていますが、主審の人が1人だけ来て、あとは試合に出ない部員が塁審を務めるというのが普通です。そうしたことに対する感謝の気持ちとかを持てているかどうか、ということですね。」

管理人「なるほど。馬場部長はそうしたことをかなり大切にされている、ということですね。」
馬場部長「はい。技術指導も大切ではありますが、意識を高く持てる、ハートの強い子を育てたいと願っています。」

管理人「選手たちにそうした気持ちは伝えられているのですか?」
馬場部長「ええ。高校時代は自分でメンタルの勉強もしていましたから、単なる精神論ではなく、そのあたりも伝えてはいます。ただ、結局は彼らの意識の問題も大きいので、それをどこまで上げられるか、ですが。」

管理人「毎週木曜は部長が練習メニューなどを決めると伺っていますが。」
馬場部長「はい。前週の練習試合で出た課題を丹念に潰してゆくことを念頭に入れています。ミスを少なく、ということで。」

管理人「高校野球には、選手・監督・部長・コーチなどなど様々なピースが存在しますが、その中で部長の役割というのは何でしょうか?」
馬場部長「誰にもそれぞれの野球観というのはありますが、チームとして機能するためには、部長の務めは基本的には裏方に徹するということでしょうか...。ん〜、部長の仕事って結構難しいですね。」

管理人「今年のチームに期待しているところは何ですか?」
馬場部長「池田を含む2年生が鍵を握っていると思います。池田はガッツもあるし、意識も高い。3年生がそれに負けずに反応していけば、と。」

管理人「ありがとうございました。今度は大会で会いましょう。」

馬場部長は29歳の若さであるが、管理人の見立てでは相当の思慮深さと視野の広さを持っている人である。
彼が北陵を去るまであと1年半(予定ですけど)、さらなる成長を見つめていきたいと願っている。
 
  
左)対鎌倉高校。戦況を見つめる部長 中)練習でノックを打つの図 右)春季大会対弥栄高校戦前のシートノック

3年生と1年生のペアリングでマネジメント能力アップ!
 
マネージャーは3年生二人と1年生二人。

つまり2年生不在で、これまでのマネージャーのスキルや空気感といったものが、この1年間は伝えられない状況になっていた。
それを二人の1年生が救ってくれたわけだから、3年生は安堵もしているだろうし、後輩マネを大切にもしているだろう。

そんな図式は以下の写真からも窺える。
 
  
左)対鎌倉高校戦の放送ペア。右が3年の井上五月さん 中)スコアをつけるペア。左が住友香苗さん 右)よく通る声で試合メンバーを発表する住友さん
 
3年生マネージャーの一人・住友香苗さんはお兄さんが北陵野球部OB(2年前の俊足中堅手)であり、部と部員を深く愛している様子がオーラとして出ている。
(取材日、残念ながら井上さんは発熱のため欠席)

管理人「いよいよ組合せも決まり、最後の夏が近づきましたが?」
住友さん「はい。吹奏楽部とチア部が大会用の練習をしているのを見て、あぁ近づいてきたな、と。」

管理人「選手たちの盛り上がりぶりはどうですか?」
住友さん「ミーティングで、『あんなプレーしてたんでは俺たちの夏はすぐに終わるぞ』といった厳しい言葉が出るようになりました。それでも、中心メンバーじゃないメンバーがもっと中心メンバーにいろいろと言ってもいいんじゃないかって思うこともあります。」

この日の取材に先立つこと2か月。
4月にぶらっと訪ねた時には「秋・冬から選手たちは成長している。チームとしても個人としても、技だけでなく人間的にも大人びたように感じます」と話していた住友さん。

管理人「その後、選手たちを見ていて何か感じるところは?」
住友さん「飛び抜けた選手がいない中、一人一人が頑張って、力を出せるようになってきたと思います。皆が少しずつ工夫していると感じます。」

管理人「1年生マネが二人入りました。今しどんな指導をされていますか?」
住友さん「とにかく部員と仲良く、信頼し合えるように、と。それと練習試合の時などは、ペアになって放送とスコアつけをやることで、実践的に伝えられることを伝えるようにしています。」

管理人「期待している選手がいたら教えて下さい。」
住友さん「3年生では石原慶。後輩にアドバイスしたり、誉めたりして、雰囲気をプラスに持っていこうとしてくれます。あと、深澤。ミスしてもフィールドでは凹んだところを見せない。この二人は中学も一緒で、ベンチ内でも守備でもチームを盛り上げてます。それと、レギュラーではないですが、和田は伝令係でベンチでの盛り上げ役。デッドボールがあればすかさず『ナイスファイト!』とか(笑)。それと2年生ですが、池田は投げるだけでなく打つ方にも大きく期待しています。」

選手たちと深く関わって、心が近くありたい、と願う住友さん。
それはきっと部員たちに届いているはずだ。

また会いましょう!

キャプテンに訊きました 『思ったことは言葉に出そう』
 
今年度キャプテンはキャッチャーで地元・西浜中学出身の青柳秀隆くん。

これで北陵のキャプテンは3年連続“扇の要”と称されるキャッチャーが務めることとなる。

管理人「どうして北陵を選んだのかな?」
青柳くん「実は姉がちょっと遠い高校に通っていて、部活と勉強の両立が難しくて、自分は何とか文武両道で行きたかったので。」

管理人「実際に入学してみてどうですか?」
青柳くん「1年の冬を越したあたりから自分のペースがわかってきました。」
 
管理人「今年のチームのエースは2年生の池田くんということになりますが、学年が違うということでコミュニケーションに不安はありませんか?」
青柳くん「なるべく同じ目線で、ということを意識しています。それと、池田が投げたいと思う球を一発でサインを出して、不安要素をなくしてやりたいとも思っています。」

管理人「キャッチャーとしての面白さに目覚めた?」
青柳くん「そうですね。リードする面白さがわかってきたというか、バッターを見てここに投げれば打ち取れる、という感覚がわかってきました。」

管理人「チームについてお聞きします。現チームのよい点・悪い点を挙げてもらえますか?」
青柳くん「よい点は、守備で大崩しないところです。池田中心に自分たちの守備ができれば、必ず勝機は来ると思います。悪い所は、一人一人がここぞという場面で適切な判断ができず、球際に弱いことです。」

管理人「それを克服するためにはどうすればいいでしょう?」
青柳くん「プレッシャーが掛かる場面で当たり前のことを当たり前にやる、ということが大切なので、常に『楽なプレー・雑なプレーをしない』ということを課しています。それがチームの底上げに繋がり、ピンチ・チャンスのここ一番という場面での集中力に繋がると考えています。」

管理人「フィジカル面だけでなく、メンタル面もかなり重要だと?」
青柳くん「はい。ちょっと有利な展開だと油断したり、雑になったりします。この間の鎌倉高校戦も初回3点取った後、バッティングが少し雑になりました。逆に中盤以降、リードされると凹むところもありますし。常に強い気持ちと元気を持って取り組みたいです。」

管理人「この夏の目標とそれに向けての課題を教えて下さい。」
青柳くん「自分との戦いにまず勝って、試合で自分たちのベストを出したいです。そうすれば結果はついてくると信じています。そのために、ミーティングなどで『空気を悪くしてもいいから、思ったことは必ず言葉にしよう』と言っています。北陵は歴代、チームの仲がよいのですが、それが邪魔をしてしまうこともありますから。それと今年は2年生が4人レギュラーにいるので、彼らが存分に力を発揮できるよう、3年生が声を掛けて引っ張ってゆくようにしたいです。」

管理人「キャプテンから見て、ひと皮剥けて欲しいと期待している選手はいますか?」
青柳くん「板谷ですね。打撃。守備ともにヘタではないのですが、自分の殻に閉じこもりがちなので、もっとグラウンド上でバカになって欲しいです。そうすればチームにものすごいプラスになると思います。」

板谷くんは背番号15で、青柳くんと中学が同じだ。
それで野球のスキルは勿論、人となりもわかっているが故の期待感なのかもしれない。

管理人「最後にこれから北陵野球部を目指そうという中学生たちにメッセージをお願いします。」
青柳くん「北陵野球部というのは、志も気持ちも高い人たちの中で野球ができるところで、楽しく真剣に打ち込める環境なので、是非目指して下さい。」

管理人「ありがとうございました。」

中学時代は2番でよくバントもしていたので、北陵が滅多にバントしないことに最初は戸惑ったそうだが、ここ一番ではバントもあるかも。
リードとともに、青柳くんのバントにも期待しています!

エース...それは2年生・池田くん。既に大黒柱の風格
 
  
左)鎌倉高校戦、初回いきなりホームランを放つ 中)春季県大会の対弥栄戦 右)北陵ブルペンでの熱のこもった投球練習
 
池田くんは1年生だった昨夏、既に背番号5をもらって主力として活躍していた。

今年は押しも押されもしない北陵のエース。
(ちなみに、中学時代はキャッチャー)

春季大会以降、全力投球はかなり抑えめにしていたそうだが、いよいよ夏を前に全開モードへ。

体は大きいとは言えない(管理人と同じか、やや小さいかも)が、抜群の野球センスはピッチングだけでなく、バッティングでも発揮される。

管理人が観戦した春季大会(対弥栄高校戦)でも二塁打とシングル、6月17日の対鎌倉高校戦では初回にいきなりスリーランホームラン、9回にも打点つき二塁打と大活躍。

体幹がしっかりしている印象で、打っても投げても安定感がある。

松島監督も「今年の冬、鍛えたら、来年は140キロを出すんじゃないですか」と期待している。

頼むぞ、エース!

北陵野球部OB,審判に挑戦中
 
左写真は昨年背番号10をつけていた芹沢夏弥くん。
現在は大学1年生。

その衣装(?)から、彼が何者であるかはおわかりだろう。

そう。
彼は審判員として母校のグラウンドに戻ってきたのであった。

管理人「どうして審判員になろうと思ったのですか?」
芹沢くん「1・2年生の時、あまり試合に出られず、練習試合で塁審を手伝ってやっていたんですね。それで卒業してから、野球とこういう関わり方がある、と思って、今修行しています。」
 
管理人「高校野球の審判って、どうすればなれるものですか?勿論、何かしらの資格が必要なのでしょうが。」
芹沢くん「年に1回講習会があって、それを3回受け、実技と筆記テストに合格するとなれます。特例で講習2回でなれるケースもあるそうですが。」

管理人「筆記はわかるけど、実技のテストっていのうは、誰がどうやって判断するものですか?」
芹沢くん「実際の練習試合などでやっているところの正確性やフォーメーションを見て、ということのようです。」

管理人「何か自分で鍛えられることというのはありますか?」
芹沢くん「はい。僕は日曜になると、ふれあい公園で草野球の審判をやっています。」

管理人「へえ、なるほど。そうすると今はかなり客観的視点から北陵野球部を見ることができると思いますが、現チームは芹沢くんから見て、どういう印象がありますか?」
芹沢くん「審判をやってみて、他のチームと比較すると、北陵は細かなところまではきちんと出来ていないという感じがあります。自分たちの代でもおそらく同じだったのかもしれませんが。だから、そこを詰めてゆくことで、まだまだ強くなれると思います。」

管理人「チームに対してのメッセージと、期待する選手がいればお願いします。」
芹沢くん「はい。チームには『頂点を目指せ』と言いたいです。本気でそれを目指せる時ですから。期待している選手はサードコーチの井口です。自分もコーチャーだったのでわかりますが、そのポジションは重要です。彼はチームの元気印ですから、責任と自覚を持って、その役割を全うしてもらいたいですね。」

プレーヤーだけが野球をやっているのではない、という事実が芹沢くんと話していると実感される。

馬場部長も仰っていたが、選手の皆さんは、是非周りでサポートしてくれる人たちに感謝の気持ちを持って野球をしようね。

芹沢くん、またどこかの球場で会いましょう!
 
  
  
  
 
北陵高校ベンチ入りメンバー[敬称略]
 
 1.池田  颯 [2] 円蔵中    右投 右打 
 2.青柳 秀隆[3] 西浜中    右投 右打 
 3.柿澤 隼斗[3] 寒川東中  右投 左打 
 4.深澤  誠 [3] 鶴が台中  右投 右打 
 5.野元 湧太[2] 深沢中    右投 右打 
 6.坪田 柾人[2] 浜岳中     右投 右打 
 7.飯田 悠斗[2] 羽鳥中     右投 右打 
 8.石原  慶 [3] 鶴が台中   右投 右打 
 9.秋山 広樹[3] 山王中     左投 左打 
10.石原  亮 [3] 藤沢第一中 右投 右打 
11.蛭間  涼 [2]  中島中    右投 右打 
12.篠木 拳将[3] 深沢中    右投 右打 
13.片桐 駿平[2] 赤羽根中   右投 右打 
14.木村 佳奨[2] 萩園中    右投 左打 
15.板谷 和直[3] 西浜中    右投 左打 
16.田中 玲樹[3] 滝の沢中  右投 右打 
17.井口諒太郎[3] 湘洋中   右投 右打 
18.和田  英 [3]  中島中    右投 右打 
19.伊藤 章浩[3] 浜須賀中  右投 左打 
20.増田 健太[3] 鶴が台中  右投 右打 
 
 

 

2012.6.18up
 
【初戦の相手】相模原総合高校
7月12日(木) 13:30〜 於:薬大スタジアム 

【監督】亀山博人先生 【部長】陣内将記先生 【主将】高橋雅樹君 
【これまでの戦績】65勝39敗8分(6月7日現在) 【部員数】選手43名、マネージャー4名

監督3年目,勝負の年に原点回帰
 

 
鶴嶺高校に訪れたのは6月7日(木)。

この日はイベントの多彩さを誇る鶴嶺高校でも最大と言える「体育祭」が、前日の雨で順延されて行われたため、管理人が到着した頃はまだグラウンドでは賑やかな記念撮影などが行われていた。

慌ただしい中、亀山監督へのインタビューは始まった。

取材前に管理人が気になっていたことは「バント戦術への考え方がどうなっているか」であった。

この時点ではまだ初戦の対戦チームが決まっていなかった(抽選は6月9日)ということもあって、具体的に相手を想定した話には至らなかったが、それでも十分監督の意図は汲んで取れたかと思う次第だ。
 
管理人「昨秋、市内6校戦決勝での北陵戦では、展開のアヤ(初回にミスから5点リードされた。詳しくは「こちら」)もあって、一度も送りバントをされませんでした。また、試合後のお話でも『力対力の勝負』をしにいかれた、と。その後、春になって戦術面での変化という点ではいかがですか?」
亀山監督「ええ、あの時は確かにそうでしたね。当時は実際の試合で打たせてみて、どれだけ打てるのか、というのを測っているところもありましたので。ただ、春先からは、結局これまでと同じように、バントを駆使していますね。地区予選の藤沢工科戦、湘南戦はバントを多用しました。まぁハッキリ言って打てないですから(苦笑)。練習試合でも、様々な想定からバントをさせていますね。勿論、相手投手や選手によるところもありますが。」

管理人「鶴嶺野球の原点に帰ってきた、ということでしょうか?」
亀山監督「そういうことです。まずは守備をきちんと固めて、失点を抑えて、攻撃ではビッグイニングはなくても1点ずつ積み重ねるという野球ですね。」

管理人「監督の中で、試合に於けるバントの仕掛け方で、何か意識されていることはありますか?」
亀山監督「ランナーを送る時は、ライン際や転がしたボールの強さとかをあまり意識し過ぎないで、とにかくフェアグラウンドの中にゴロを転がせ、と。それが仕事だと言っています。フライを揚げてしまってはどうしようもないですし、まずは転がさないと始まらないよ、と。正面に行ったりして、二塁で封殺されたら、それは相手の守備が上手かったんだと考えます。バントが転がってしまえば、走っているランナーを刺すというのは簡単ではないですから。」

管理人「場面・状況で、戦術を変えることはありますか?」
亀山監督「エラーやフォアボールなど、相手のミスでもらったランナーほど大切に送りますね。それが相手にとってプレッシャーであり、嫌なことですから。スリーバントも多用します。逆に打って出たランナーはスチール、エンドランなどで動かすケースが多いです。硬軟織り交ぜて、5点を取りにいきたいと思っています。」

管理人「バント戦術を活かすには、ディフェンス面がしっかりしているというのが前提となりますが、投手陣はどうですか?」
亀山監督「春は日向が1番をつけましたが、この夏はサイドスローの森野を1番にしました。日向は冬場のトレーニングでは懸命にやっていましたが、ちょっと肩を痛めまして。今は森野が安定感抜群ですね。森野・日向の2枚で戦おう、と。日向は背番号は9ですが、場面によってはキャッチャーということもあり得ますよ。肩の強さで相手にプレッシャーを掛けることもできますから。」

おぉっ。
今阪神にいる久保田智之投手が、かつて滑川高校時代に甲子園で、キャッチャーマスクとレガースを脱いで、いきなりマウンドに上がったシーンが突如フラッシュバックした...

あれは、管理人が甲子園で目にした最も衝撃的な投手交替シーン であった。
日向くんにもそういう機会があるかも...

管理人「守備はいかがですか?」
亀山監督「三遊間(柳本くんと主将の高橋くん)は昨年から不動ですし、セカンドの池田もフィールディングには安定感があります。ただ、主力が欠けると、それを補うほどの層はありませんから、そこはやや心配もあります。」

管理人「ありがとうございました。また大会前に伺いますね。」

今年は新入部員が21名(今夏ベンチ入りは3名)という豊作とのこと。
鶴嶺高校では、野球経験者のおよそ半数が野球部に入部するという統計があり、今年もそのデータ通りとのことだったが、部員数は少ないより、多い方が活気も出るし、競争も激化して、チームとしての強さも向上することであろう。

この3年、初戦を突破できず、涙を飲んできた。
亀山監督が勝負の年と位置づけるこの夏、是非、高らかに校歌を歌って欲しいと切望します。
 
 
  
取材当日は体育祭があったため、野球部員が中心になってその片付けを率先してやっていました

マネさんに訊きました 『...勝ちたいです』
 
  
鶴嶺高校は羨ましいことに女子マネが4人(うち、今回インタビューさせてもらったのは3年生の3名)。大会ではくじ引きで決めた順番で、ベンチに入るそうだ。左から時村茜(トキムラアカネ)さん、中は松原陽(マツバラミナミ)さん、右は斉藤光希(サイトウミツキ)さん。大会ベンチ入りの順序は1回戦:斉藤さん、2回戦:松原さん、3回戦:時村さん。何としても2回は勝たねば...
 

体育祭後の慌ただしい中、入れ替わりで1人ずつお答え頂きました。

【時村茜さん】
管理人「なぜ、野球部のマネージャーになろうと?」
時村さん「中学時代(平塚・浜岳中)はソフトテニス部でしたが、野球を見るのは好きでした。高校では中学と違うことをやろうと考えていました。」

管理人「実際にマネージャーをやってみて、拘束時間が長いといったことで辛くはありませんか?」
時村さん「自分がやると決めてやっていることなので、苦にはなりませんし、もう慣れてしまいました(笑) 」

管理人「マネージャーとして心掛けていることは何ですか?」
時村さん「仕事の優先順位をよく考えて実行することです。そうすることで、時間などのロスが少なくなると思います。」

管理人「あと1ケ月で大会が始まりますが、今の心境や大会ではこうしたいといった目標はありますか?」
時村さん「毎年練習試合で訪れる学校に行った時、ああここに来るのも最後かぁとか思いますね。大会では3回戦にやっとベンチに入れる順番なので、1・2回戦はスタンドから大きな声を出していきたいです。落ちている時にどれだけ声を出せるかは大事だと思います。」

管理人「チーム全体に対する期待や、個人的に頑張ってもらいたい選手についてお聞かせ下さい。」
時村さん「2回勝って、私をベンチに入れて(笑)!期待している選手はキャチャーの中野くん。背番号2に対する期待に応えてくれたら...。控えの小柏くんは個人練習頑張っているので、試合でも活躍してくれたら。あと、キャプテンの高橋くんは今バッティングの調子を落としているけど、彼が引っ張ってきたチームだし、早く復調して欲しいです。」

管理人「ありがとうごさいました。」

意志の強そうな瞳が印象的な時村さん。
何とか3回戦でベンチに入れるよう、管理人も祈っていますね。


【松原陽さん】
管理人「なぜ、野球部のマネージャーになろうと?」
松原さん「鶴嶺中学時代は水泳部だったのですが、父が中学校の野球部の監督をやっているので、割と自然に。」

管理人「実際にマネージャーをやってみて、拘束時間が長いといったことで辛くはありませんか?」
松原さん「ツライことがないわけではありませんが、何かすることで感謝されると嬉しいので、苦にはなりません。自分の性格に合っているんだと思います。」

管理人「マネージャーとして心掛けていることは何ですか?」
松原さん「小さなことですが、周りの人にちゃんと挨拶する、とか、出来るだけ笑顔で明るくいようと心掛けています。」

管理人「あと1ケ月で大会が始まりますが、今の心境や大会ではこうしたいといった目標はありますか?」
松原さん「これは私も同じなのですが、チーム全体としてもこれからの一日一日を大切に過ごして欲しいと思います。」

管理人「チーム全体に対する期待や、個人的に頑張ってもらいたい選手についてお聞かせ下さい。」
松原さん「最近は集中して試合に臨めるようになったのですが、ここ何年か夏は力を出し切れていないので、何とか持てる力を発揮して欲しいと願っています。個人的には日向くんに期待しています。風邪を引いた時も、外周を走ったり、常に努力しているのがわかりますから、是非大会でも頑張ってもらいたいです。」

管理人「ありがとうごさいました。」

心掛けていることは?という問いに、少しはにかんで「挨拶と笑顔」と答える姿が印象に残りました。
それは、本当に大切だと思います。


【斉藤光希さん】
管理人「なぜ、野球部のマネージャーになろうと?」
斉藤さん「中学時代(鶴が台中)にソフトボールをやっていたこともありますし、まんがの『H2』(原作・あだち充)に影響を受けたというのもあります。」

管理人「実際にマネージャーをやってみて、拘束時間が長いといったことで辛くはありませんか?」
斉藤さん「自分としては大学もスポーツ系に進みたいという気持ちもあって、好きなことをやっているので苦になりません。」

管理人「マネージャーとして心掛けていることは何ですか?」
斉藤さん「勝ちたいという気持ちが強いので、練習試合などで相手チームのよい点などは自分にわかる範囲で監督に伝えています。あとは、なるべく選手の負担にならないように、ということですね。」

管理人「あと1ケ月で大会が始まりますが、今の心境や大会ではこうしたいといった目標はありますか?」
斉藤さん「選手を支えたい、というのと、校歌を歌いたい、という気持ちはとても強いですね。あとは、試合の応援に来てくれるチア
部と吹奏楽部の人たちへの感謝を忘れないようにしたいです。」


管理人「チーム全体に対する期待や、個人的に頑張ってもらいたい選手についてお聞かせ下さい。」
斉藤さん「チームへの期待としては、相手チームが『このチームと戦って負けたならしかたない』と思えるようなチームになれるように、危機感を持って練習し、試合で戦って欲しいです。期待している選手はコーチャーの関根くん。監督からの信頼が厚く、伝令に走るスピードはピカ一(笑)。行進の時プラカード持って欲しい選手ですね。あと、主将の高橋くんと日向くん。二人はとても意識が高く、彼らがチームを変えたと思います。私も負けないように頑張りたいです。」

管理人「ありがとうごさいました。」

斉藤さんは1回戦のベンチに入ります。
君が校歌を歌う時、それは鶴嶺高校がこの3年の雪辱を果たす時だね。

選手諸君は3人のマネージャーの思いも背負って、初戦に立ち向かってもらいたい。

管理人も何とか1回戦に駆けつけたいと思っています。
是非、校歌を聴かせて下さいね!
 

  


 

 
キャプテンに訊きました 『“惜しい”は要らない』
 
鶴嶺高校のキャプテンは1年次からベンチ入りしている高橋雅樹くん。

鶴が台中学時代(軟式)は、春の県大会3位という実績もある。
そして中学時代から一貫して、ポジションはショート。

管理人「ショートというポジションの面白さ、醍醐味というと何になりますか?」
高橋くん「ボールが一番飛んできて、それを捌く楽しさはショートならではだと思います。」

管理人「守備の時に特に意識していることはありますか?」
高橋くん「とにかく声を出していくことです。ガッツも前面に出そうと意識しています。」

管理人「高橋君の場合、キャプテンということもあるから、二重に大変ですね。」
高橋くん「練習から厳しくいこうと意識しています。ノックなどの時も、もう少しで取れそうな場合に『惜しい惜しい』と声を掛けたりしますが、結果として取れていないので、『“惜しい”は要らない』と言いたいですね。」

管理人「バッティングの方はどうかな?マネさんたちに聞いたところでは最近スランプ気味という話だったけど...」
高橋くん「春に肩を痛めて、それを我慢して素振りとかをしていたら、ちょっとフォームを崩してしまったみたいで。やはり、無意識のうちに痛いのを庇ってしまうのかと思います。父親にバッティングフォームをビデオに撮ってもらって、修正して、かなり戻ってきたと感じています。まだ模索中ですが。」

どうやらここのところ、打率が1割台という不調だったのが、徐々に盛り返してきたとのこと。

管理人「キャプテンから見て、これからのチームの課題はどのように見えていますか?」
高橋くん「今までやってきたことをきちんとやり、自分の武器をそれぞれがさらに磨くことが大切だと思います。」
管理人「勝つために必要なことは何だと考えていますか?」
高橋くん「打撃強化が絶対必要です。バントは勿論大切ですが、打たないことには勝つことは出来ませんから。」

管理人「将来はどうしたいかな?」
高橋くん「勉強はちょっと遅れてしまっているんですが(笑)、大学に進んで、高校野球の監督になりたいと思っています。」

管理人「それじゃ、勉強も頑張らないとね。でも、まず野球で悔いのないようにやって下さい。ありがとうございました。」

野球センス抜群で根性も十分の高橋主将。
管理人の質問にも1つ1つ誠実に答えようという姿勢がたいへん好ましかったです。

彼がフィールドで躍動する姿を見始めて三度目の夏。
今度は是非、彼がグラウンドで喜びを爆発させる姿を見たいと念じています。

鶴嶺高校ベンチ入りメンバー[敬称略]
 
 1.森野 祐太[3] 明治中   右投 右打 172センチ 57キロ
 2.中野 直哉[3] 高浜中   右投 右打 179センチ 66キロ
 3.関谷 昴大[3] 横浜中   右投 右打 172センチ 65キロ
 4.池田 浩樹[3] 大磯中   右投 右打 165センチ 54キロ
 5.柳本 桂志[3] 西浜中   右投 右打 173センチ 63キロ
 6.高橋 雅樹[3] 鶴が台中  右投 左打 172センチ 65キロ
 7.鈴木日奈太[2] 浜岳中   左投 左打 171センチ 68キロ
 8.両村 亮成[2] 大谷中   左投 左打 171センチ 63キロ
 9.日向 祐輝[3] 浜須賀中  右投 右打 170センチ 66キロ
10.神保   翼 [3] 松浪中   右投 右打 177センチ 67キロ
11.鎌田 宙希[3] 玉縄中   右投 左打 183センチ 67キロ
12.松下 拓也[3] 浜須賀中  右投 右打 177センチ 65キロ
13.関根 雄太[3] 鶴が台中  右投 右打 165センチ 70キロ
14.小柏 智哉[3] 鴨宮中   右投 右打 165センチ 56キロ
15.粟城 尚也[3] 茅ヶ崎一中 右投 右打 165センチ 62キロ
16.伊藤 俊悟[3] 北陽中   右投 右打 180センチ 68キロ
17.寺田 政徳[3] 鵠沼中   右投 右打 179センチ 69キロ
18.長田 健哉[1] 寒川東中  右投 右打 179センチ 72キロ
19.小林 亮介[1] 大庭中   右投 右打 172センチ 63キロ
20.飯島 悠斗[1] 浜岳中   右投 右打 175センチ 55キロ