7/22 ◇7/20 ◇7/17

起こるか,大波乱。鶴嶺・北陵に徹底肩入れします!
 
 今年もまさしく“雑多な”ことを書くページを作ってしまいました。よほど暇な時だけで結構ですので、お付き合い下さい。


 さて、今年はご存知の通り90回大会ということで神奈川からは南北2つの代表が甲子園にたどり着くことのできるビッグチャンスです。

 神奈川県には全国制覇を経験している学校も慶應、湘南をはじめ法政二、東海大相模、桐蔭学園、横浜などがあり、強豪校がひしめき合っていると言えるでしょう。

 実はそこがチャンスです。

 上記以外にも虎視眈々と甲子園を狙う私学も多く、群雄割拠のこの状態は下克上が起こりやすいと思われ、この拙文を書いている7月17日の時点で既に南神奈川の第1シードである立花学園と湘南学院は初戦で敗退しています。また、組合せを見れば代表有力候補の横浜高校のブロックには強豪私学が集まり、それも波乱を引き起こすファクターとなりそうです。

 「部活ネット」では茅ヶ崎地区の鶴嶺高校・北陵高校を大会前に取材させてもらいましたが、両校は確固たる野球スタイルを持っており、彼らがどこまで自分たちの野球をやり遂げるのかに注目しています。

 叶うならば甲子園へ...。

 管理人も連れて行って下さい。仕事を投げ出す覚悟はできています...

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北陵,残念ながら力負け。創学館に甲子園に行ってもらおう 2008.7.22
 
 トップページにも言い訳しました通り、20日の創学館戦は管理人の体調管理が悪いというシャレにならない状態で、保土ヶ谷球場に行くことは叶いませんでした。それでもテレビ中継があったので試合は最初から最後まで観させてもらいました。

 テレビ(TVK)によれば、北陵はジャンケンに勝って先攻を選んだ、とのことであったが、これは当然の策であろう。管理人が監督であったとしても、創学館相手に先に攻撃させてあげるほどお人好しにはなれまい。

 何しろ、春には15点取られているわけだし、こちら(北陵)に松坂クラスのスーパーエースがいるわけでもない、という状況であれば先手必勝であり、打撃戦持ち込んでこそ勝機も生まれるというものだ。というか、おそらくは凶暴な打撃を誇る強豪私学を相手に勝つことをイメージするなら、9イニングの中で一度だけでなく、何とか二度ビッグイニングを作る必要があろう。松島監督はそれを日々考えて少々守りに目をつぶっても打撃に時間と労力を割いてきたはずである。

 一般的に「打撃には波がある」と言われるし、おそらくは実際にその通りなのだろうが、波があるならその頂点で強豪とも戦える可能性もあるわけだ。

 近年、管理人がちょっと注目している東京の開成高校(受験では長らく全国トップを維持している)の野球部も「練習の8割がバッティング」と言って憚らない。勿論、全体練習が週に一度だけで、彼らには毎日自由に使えるグラウンドもない、といった事情もあるが、東大野球部OBの青木秀憲監督による徹底した打撃偏重の練習は昨夏東東京大会でベスト16に進出するという結果も出している。

 東大が東京六大学に於いて、甲子園出場メンバーがたくさんいるような他の大学と戦う上でどうすれば勝機が生まれるのか、ということを究めていけば、必然的に打撃中心にならざるを得ないという結論が導かれる、というわけだ。

 実際、管理人が早稲田に在籍していた頃、東大に連敗して勝ち点を献上し、学内に気まずい空気が流れていたことを覚えている。

 ある一定レベルの投手と1試合で3失策程度に抑えられる最低限度の守備力があれば、蟻が象を倒すこともあるのが野球というスポーツの面白さなのである。高校野球が他の球技を圧して人気があるのは、その歴史や攻撃と守備が明確に分かれていることや独特の「間」といった要素だけでなく、個々の選手のスキルやチームのスキルに差があっても、1箇所でも相手に勝る部分があれば全体を支配することもあり得る、という人生の縮図の如きことを繰り返し目の前で実演してくれるからなのであろう。

 であれば、1回オモテの攻撃で何としても1点は取っておきたかった...。

 実際、チャンスはあった。創学館先発の森くん(背番号10)は立ち上がり制球が定まらずにフォアボール。北陵はバントせずに強攻し、ランナーを送れないが、戦術としては徹底しており、軸はブレていないと安心させるものでもあった。さらに、3番でこの試合先発の國正くんがヒットで1死一二塁の状況となった。

 ここで一本出ていれば北陵ペースになっていたところだったが、後続が倒れてしまった。しかし、創学館のピッチャー陣に全く手が出ないといった様子はないので、もつれてくれれば楽しみがある初回の攻撃でもあった。

 さて、1回ウラ、創学館の攻撃を見て、管理人はかなり度肝を抜かれたと告白しておくよ...

 先発は初戦好リリーフの國正くん。展開によるだろうが、当然1人で抑えられるほど相手も甘くない、ということは織り込み済みであったろう。

 しかし、制球難で自ら崩れるわけでもないのに、創学館は打つわ打つわ。

 特に4番の秋山くんが放ったライトへのホームランは國正くんがうまく内角を突いた球を打ったものであり、何度もスロー映像が流れたが、あんなにうまく打てるものではないんだよ、ふつうは...。ダイエーの松中かと思ったほどであった。

 結果、初回に4失点、2回に3失点で降板したが、國正くんを責めることは誰にもできまい。それに、実はまだ7点しか取られていないという気持ちも管理人にはあったわけだ。というのも、慶応藤沢戦後、松島監督が「10対9で勝ちたいですね」と言っていたからね。

 ところが、創学館は投手陣もなかなかよく整備されているようで、次々に繰り出す投手に北陵打線のバットから快音が聞こえない。3回から代わったエースの橋場くんが必死に堪えていたが、6回ウラ、ついに10点目を奪われ、その時点でコールドゲームとなった。

 管理人は松島監督が北陵に赴任されてから5回の夏を見つめてきたが、初年度から毎年強豪・古豪私学との対戦があり、その戦いに勝つことも少なからず目にしてきた。昨年の武相や今年の初戦の慶応藤沢などは、戦前の予想では相手有利のところを打ち勝ってきたのである。

 それを「続ける」ということがいかに難しいか...。

 管理人は、90回大会という巡り合わせもあり、「この創学館戦を勝ち抜けば...」という想いが本当に強かった。「れば・たら」はないので、これ以上は言うまいが、ワクワクさせてもらったありがとう、と感謝の意だけは伝えておきたい。

 そういう意味では、北陵と実力的にもほぼ同格と思われる藤沢西が1回戦で相洋、2回戦で第1シードの立花学園と続けざまに強豪私学を破って、その後も勝ち進んで21日現在、南神奈川のベスト8にまで登り詰めているのには注目したい。

 っつーか、ベスト8のうち横浜・創学館・鎌倉学園以外は公立という、近年あり得なかった図式が出来ている。公立旋風の中で、本当に甲子園まで行ってしまうチームが出るのか、それとも終わってみれば予定調和なのか。結果は勿論わからないが、残っている高校の関係者はとにかくその状況を楽しんで下さい。

 橋場くんをはじめ、北陵野球部の部員の皆さん、マネさん、保護者の皆さん、学校関係者の皆さん、お疲れ様でした。北陵は応援マナーもよく、素晴らしいチームだったと思います。

 来年もまた取材させてもらえたら幸いです。また会いましょう。

 さ...最終回じゃありませんので。念のため。
 

儚く消えた甲子園。茅ヶ崎勢の終戦 2008.7.20
 
7/19 鶴嶺1−5南  7/20 北陵0−10横浜創学館

副題】管理人も倒れる
「北陵−創学館」につきましては後日書かせてネ

 
 
7/19 3回戦 鶴嶺1−5南[平塚球場]
 
<予兆>横浜高校が藤嶺の反撃をかわせた理由
 
 3回戦でありながら、事実上の決勝とも言われていた第一試合の横浜−藤嶺藤沢戦が大熱戦且つ内野席満員につき、管理人はいきなり人生初、バックスクリーン脇の外野芝生席での観戦となった。

 直射日光を存分に浴び、体感温度は40度以上であったと推測されるが、外野側から観るのもなかなかにして面白い。内野スタンドからだと、どうしてもバッテリー中心に観ようという気持ちが働くようで、外野からのパノラマ的視界はひどく新鮮であった。

 さて、その対決は最終的には4−0で横浜が勝つことになったわけだが、9回オモテ、藤嶺は横浜の好投手・土屋くんに対し、エラー・ヒット・四球で無死満塁のビッグチャンスを掴んだ。しかも、打者は四番の若佐くんという願ってもない展開である。

 横浜のエースとはいえ、彼も高校生である。ボール・ストライクがハッキリとしてきて(勿論いいボールもあったけど)、押し出しもあり得る場面にも思われた。

 そこで打者の若佐くんが1塁側にファールフライを打ち上げる。フェンス際であり、捕球は難しいようにも思えたが、これをファーストがナイスキャッチ。そのお膳立てをしたのが、1塁側に待機していたボールボーイであった。

 彼は横浜高校野球部の1年生(どうやら21名以上部員がいる学校は試合のたびに1人ずつボールボーイを出すことが義務付けられているらしい)であり、球場内の1塁・ライト方向に飛ぶファールボールを処理するという役割であり、試合中はファールゾーンの端っこに座っていることになっている。

 その彼の上方にフライが上がると、サッと椅子ごとどいて捕球するためのスペースをしっかり確保したのであった。ボールボーイが集中力を切らさず、ヘンテコな方向へ走り出すでもなく、素晴らしい動体視力を以って完璧なチームプレーを演じたように見えたのは管理人だけであろうか...

 これが3塁側(つまり藤嶺サイドってことね)に飛んだファールフライだったら、こううまくはいかないのではないかと思った次第である。

 さらに言うと、土屋くんがある程度の余裕を持っていられたのは、8回ウラに犠牲フライによって横浜が4点目を入れたことが大きく関わっている。

 ご存知の通り、野球というスポーツはどれほど頑張っても1度に最大で4点(勿論、満塁ホームラン、という意味)しか入らない。即ち、得点差が3点以内であるのと4点以上であるのは守っている側に与えるプレッシャーの度合いがかなり違う、という見方が可能である。

 勿論、どちらも高校生であるわけだし、流れが来れば4点以上一気に入るケースもあるが、ビリビリの緊張感に縛られるかどうかという観点では、4点は心理的余裕を生むものであろう。

 つまり、土屋くんはまだ冷静に自分を保っていられる状況であったわけだ。その余裕を生んだのが8回の1点であり、こうした終盤の追加点は追いかける側に対して「諦め」の気持ちを起こさせるものだ。

 管理人は藤嶺の最後の打者に対して「ここは生涯最初で最後、ホームランを狙えよ」と念じていたが、残念ながら結局完封されてしまった。

 にしても、藤嶺も本当にいいチームだった。「れば・たら」はキリがないが、80回大会(10年前。松坂くんが横浜を春夏連続優勝に導いた時のことだ)のように「東神奈川・西神奈川」というブロック分けで、「東=横浜+川崎、西=それ以外」であれば当然かなり甲子園に近いチームだったと言えよう。

 ま、そういうチームがどんどん負けていってしまうのが神奈川県の一大特徴でもあるわけだが...

 この試合展開を見て、第二試合の鶴嶺−南戦を占うに、どちらが相手の弱みを早く掴んでそこにプレッシャーを掛けられるか、それによって流れを持ってこれるか、ということが分水嶺になるとも思えた。

 さてさて...
  
  
まさしく満員札止め。全国も注目する一戦であったが、横浜が制した。こういう試合経験が、もとからの資質も高い選手たちをさらに高みに引き上げると言えよう


進化型雨だれ野球・・・山田主将、得意の足技で先取点
 
  先攻の鶴嶺は核弾頭と呼びたくなるようなキャプテンの山田くんが1番である。昨夏は3番を打つことが多かったが、彼の持ち味である思い切りのよさや俊足、野球センスを活かす上ではトップバッターの方がよいだろう。

 で、いきなりやってくれた。

 プレーボール初球を叩くと、打球はライト前へ。2番斎藤くんがすかさず送りバント。3番戸川くんも送りバントが内野安打となり、1死一・三塁。続く4番の亀山くんのショートゴロの間に、三塁走者・山田くんが迷わずホームを陥れて、アッというまの先制劇であった。

 まさしく「進化型雨だれ野球」。

 山田くんが出塁⇒走り回って先取点⇒あとはエース・新井くんが相手を抑える

 今年の勝利への方程式は至極シンプルであり、初回の攻撃は鶴高ペースと言うに十分なものであった。
 
   
左)南のエース・石井くん。粘り強いピッチングであった 中)プレーボール初球を痛打の山田主将 右)部員や同級生たちから「おかわりくん」の愛称で親しまれるエース・新井くん

惜しかった先頭打者へのフォアボール
 
 これで、何とか初回の南の攻撃を無事乗り切ってくれれば完全に鶴嶺勝利の方程式に近づこうというもので、新井くんの立ち上がりに注目した。

 ...と、いきなり先頭打者にフォアボールを出してしまった。その後盗塁を決められ、さらに送りバント、犠牲フライであっさり(と言うと聞こえが悪いが)同点とされてしまった。

 これで流れはイーブンというより、後攻めの南に傾いたかもしらんなぁと感じていた。チームカラーが似ているので、いかに相手らしさを殺し、自分たちらしさを出せるか、ということが命題となるが、やはり追いついた方が心理的に優位に立てるというものだ。鶴嶺は流れが大きく南に行かないようにどこかで仕掛けたい。
 
  
南高校は部員数80名という大所帯。応援もタオルを頭上で振り回すなどユニークで好感が持てる

  
  
  
鶴嶺の応援は一般生徒・チア・応援団・ブラス・父母・鶴高ファンといったピースが全て揃っている。試合中、ビール片手にずっと解説と展開の読みを語るおっさんなどもいて、平和な印象である

4回。そこが勝負の分かれ目だったのか...?
 
 前半の勝負どころは間違いなく4回の攻防にあった。

 鶴嶺は先頭の戸川くんがセンター前ヒットを判断よく二塁打に。続く亀山くんがバントでなくバスターでヒット性の当たりだったが、セカンドライナーでケッツー必至かと思いきや、セカンドからの送球を受けたショートがポロリ。大命拾い...。

 管理人の経験則では、こういう場合、セカンドライナーでアウトになったことより、ゲッツーを免れたことに運気があるものだ。実際、5年前の夏、鶴嶺が強豪私学の立花学園を破った際には考えられないことが起こったものだ。
詳しくはこちらを

 相手がくれた流れを逃す手はないのであるが、ここで戸川くんが盗塁失敗、新井くんがセカンドフライで無得点に終わると、今度は南に天秤が傾いてゆく。

 無死2塁から送りバント、センター前ヒットで何となくあっさり失点してしまう。さらにその後もフォアボール・盗塁などでピンチを招くが、今度は南がスクイズ失敗。2死後、ファールフライをファーストの小谷くんがファインプレーでキャッチ。

 ぎりぎり、どうにか耐えているといった印象である。
 
  
極的な前進守備はサードランナーのホームインを阻止する場面も
 

6回、鍛えられた内野陣についにほころびが...
 
 5回を三者凡退に押さえ、ようやくペースを掴んだかに思えた新井くんであったが、6回ウラ、フォアボール・デッドボールから無死二・三塁のピンチ。

 絶体絶命の状況下、前進守備の鶴嶺内野陣。まずはファーストゴロを小谷くんが落ち着いて捌き、打者走者にタッチしてワンアウト。さらに次打者のセカンドゴロを島崎くんがホームへ送球し、タッチアウト。2死となり、この最大のピンチを切り抜けるのも間近と思われた矢先、ここまで新井くんの低めのボールがワンバウンドになっても必死に体で止めていたキャッチャー田畑くんが、ついにうしろに逸らして3点目を献上してしまった。

 ノーヒットで取られた1点だけに惜しい。
(勿論、そういう得点もあるのが野球ではある)

 そして8回ウラ、冒頭の横浜−藤嶺戦同様、南はヒット・エラーで出たランナーを内野安打・スクイズも絡めて返し、鶴嶺の息の根を殆ど止めると言って差し支えない2点を加えたのであった。

 どうしても流れを引き寄せられない状態に陥っていたと言えよう。

 年間を通じて、プロ野球ならこういうゲームもいくつもあるに違いない。しかし、高校野球はトーナメントであるがゆえ、ゲームの中でその流れを人為的にでも変える必要に迫られる。そこが本当に難しいところであり、先日の北陵(対慶応藤沢)の継投成功などは、めったに見ることのできない稀有な例なのかもしれない。

 それでも初回の鮮やかな先制攻撃やディフェンスに「らしさ」を十分見せてくれた鶴嶺高校野球部であった。また、4回の攻撃は新たな鶴高野球の始まりを感じさせてくれたし、6回ウラの攻撃的な守りは伝統を具現化したものであった。

 若いチームだっただげに、来年への成長が楽しみでもある。11年連続の初戦突破へ向けて、またよいチームを作り上げてくれると期待もしている。

 3年生諸君はしばしの休息ののち、自分の進路について真剣に考えて欲しい。

 この夏もいいものを見せてもらいました。鶴嶺高校野球部関係者の皆さん、お疲れ様でした。

  
左)体を張ったキャッチングで新井くんのボールを受け止めた田畑捕手。試合後、彼は人目も憚らず号泣していた 中)最後のクールダウンをする新井投手。彼も泣いていた 右)自分に打順が回ってくることを信じて素振りを繰り返す新井くん。彼にそれは回ってこなかった

試合後の風景(1)
 
  
左)試合後、田畑くんを労う昨年の捕手・大海くん 中)挨拶をする加藤部長 右)肩車されている子は終始「おかわり、がんばれ〜」を繰り返していた。たぶん新井くんのファンになったに違いない

試合後の風景(2)
 
  
野球部の敗戦は即ちチア部や父母会の解散をも意味する。チアは最後に校歌を涙の大合唱

試合後の風景(3)
 
  
ひとことコメントを頂きました。

山口監督(中)「若いチームだっただけに、試合中もぐんぐん成長してくれました。精神論になってしまうかもしれませんが、南高校の石井くんが見せた、疲れても何とかボールを抑えて粘る投球にやられたのかもしれません。南も本当にいいチームでした。」

山田主将(左)「今年は若いチームだったので、細かな野球という意味ではミスも多かったと思いますが、逆に今年はいろいろと経験できたので、来年伸びると思います。」

 管理人は人数は少ないながらも、キャプテン・山田くん、エース・“おかわり”新井 くん、キッャチャー・“泣き虫”田畑くんなど、キャラの立った3年生がセンターラインを締めていたチームのDNAが新チームにも受け継がれることを切望しています。

 お疲れ様でした。
 

大熱戦の末、慶應藤沢に逆転勝ちした北陵
 
管理人の不安
 
 暑い...。クラクラするほどだ。

 夏だからね。このくらいでないとね(勿論、負け惜しみです)。

 北陵の初戦(2回戦)の相手は同じ湘南地区の慶應藤沢高校。かなりの好素材が揃ったチーム(現2年生の代は中学時代に関東大会にまで出場しているらしいぜ...)であり、ほぼ全員が付属中学から一緒に野球をやっているため、お互いのことはよくわかっていると予想される。

 ま、幸いなことに、2回戦からの登場であっても、相手が1回勝って上がってくるという著しく厳しい状況ではなく、どちらも初戦だというのが救いだ。

 しかし、いよいよ管理人、この夏最初の観戦となるが、不安要素がいくつかあった。

 <不安その1.平塚球場の試合であること>

 どうやら準地元でありながら、平塚球場での成績は芳しくないらしい(某父母からの情報による)。

 そう言われてみれば、3年前の愛川高校戦と2年前の鎌倉学園戦と二年続けて引退の舞台となってしまっていたりする。
(ちなみに、昨年は保土ヶ谷球場)

 平塚球場はある意味、日本一平和な場所なのではないかと思っていただけに、ちょっといやな予感が走ったりしたわけだ。
 
  
平日の真昼間、高校野球を見入るオヤジ軍団。管理人はあなたたちの存在により、日本がまだまだ平和であることを思い知ります。毎年ありがとう!!
 

 <不安その2.試合開始がほぼ予定通りなこと>

 いやいや、こう見えても管理人は只今学習塾業界特有の行事である「夏期講習」とやらの真っ只中であり、本日ももともと5時から授業があるところを、こっそり6時に変更した挙句、前日に「万一のこと」を考えてさらに6時半に変更していたわけだ。

 いくらなんでも6時半なら大丈夫だろうと思ったのは、第一試合の創学館が大差のコールドで勝つのではないか?と睨んでいたためであり、管理人は予定よりかなり早い時間から球場に到着していた。

 ところが野球というのは先が読めないということに於いては他のスポーツの比でない。何しろ、半永久的に一方のチームが攻撃をし続ける可能性もあるのだ。攻撃を「得点」「時間」のいずれの縛りもなく延々と続けられるスポーツって野球くらいだし、逆に多少力に差があっても接戦になったりすることもあるのが野球である。

 2時半開始だとするとだね、ちょっと長引くと最後までは観ていられないかも...。延長戦ならヤバイ...。

 せっかく来たのにそれは勘弁してくれろ.......


 <不安その3.エース橋場くんの立ち上がり>

 最大の不安は先発・橋場くんの立ち上がりの制球であった。

 やはり、野球は投手の出来・不出来の占める割合が大きい。変化球でストライクが取れると展開的には楽になりそうだが、先般の練習試合で序盤きわどいコースを狙い過ぎたためか、フォアボールを続けててしまった場面があった。

 もし、慶應藤沢相手に序盤から不要なフォアボールを出して、塁上を賑わせてしまうと、流れが相手に行ってしまう可能性もあり、それは何とか避けてもらいたいと願っていた。
 
  
試合前と5回終了時にはグラウンド整備が入る。基本的には各高校のベンチ入りできないメンバーがその役を担うが、ライン引きや水撒き、車を駆っての均しは球場関係者その他の大人がやってくれる。勿論、審判や記録係などを含めれば膨大な数の人が運営に携わることになる。それが地方大会の1回戦からずっとなわけだから、こりゃボランティア総量世界一の大会かもしらんね...

揺れる流れを引き寄せることができるか...
 
 立ち上がり、橋場くんの制球が今ひとつ定まらない。

 初回、1死からフォアボールで出したランナーが盗塁などで3塁まで行く、苦しい展開である。内野の守備もやや硬くなったのか、送球に不安を感じさせる。正直言って、あまりよくない滑り出しであり、不安がちょっくら的中した形でもある。

 それでも無得点に抑えたわけだから、よしとして攻撃に入りたいところだ。

 慶応藤沢の先発は背番号10の竹林くん。投球練習の時から球威を感じる投手であり、腕の出所も見えづらい。北陵打線の苦戦も予想されるところでもある。1回ウラ、北陵は三者凡退でバットにボールが当たらない、という印象すら受けた。竹林くんがこの調子で投げ続けたら北陵の勝ち目は薄いかも...
(管理人には、常に自分が取材した、思い入れのある高校に対してすらも、「負けた場合は...」と考える悲しい性がある。だって、実際に負けてしまった時に精神的準備がないとツライからね)

 そして、流れのよくないまま迎えた3回オモテ。表面張力で耐えていた水がこぼれるかの如く、ヒット・盗塁・フォアボールという悪い連鎖からタイムリーを2本打たれ、慶應に3点を先取される。

北陵側スタンドは凍りついたように静かになったが、 客席から「橋場、気持ちだ〜!」という声援が飛び、ようやくチェンジ。これは何かで早く流れを換えたいところである。そして、松島監督が次々に仕掛けた。
 
  
左)慶應・先発の竹林投手。伸びのあるストレートで序盤の北陵打線を封じた 中)北陵・先発はエースの橋場くん。制球力をやや欠いたピッチングになったのば残念であったが、次戦への課題も明白になった 右)3回ウラ、代打に指名された矢形くん。早い仕掛けは松島監督の得意でもある

継投の明暗。冴えた北陵・松島監督の采配
 
  結果的に、3回ウラの攻撃が無得点に終わったとはいえ、北陵・松島監督は手をこまねいているのではなく、積極果敢に流れを引き寄せようと動いた。

 それが、7番岡部くんがチーム初ヒット(2塁打)を放った後、8番篠原くんに代打矢形くんを送った策に如実に表れている。序盤だから耐える、という考えもあるが、何しろ1回負けたら終わるのがトーナメントであり、動くべきところで動かなければ悔やんでも悔やみきれない。松島監督は後者の戦術を重視されているのかと推察する。
(ま、勿論、臨機応変にってところもあるでしょうが...)

 そして、4回オモテから二番手投手として2年生の國正光くんをマウンドに送ったのだ。

 彼は素材としては1年生の頃から注目を集めてもいたが、故障がちであり、新チームになってから長いイニングを投げていない。「流れを変えるために、度胸のある國正で、と考えました」とは、試合後の松島監督の弁だ。

 実際には“賭け”に近いところもあったのだろうが、この継投がピタリとハマる。残る6イニングを彼が零封してしまうのだ。

 國正くんは試合後、「腰の調子がよくないので、あまり投げ込みをせず、ネットピッチングなどで指先の感覚を確かめていました。今日はボールの引っ掛かりがよく、コントロールもまずまずでした。」と語ってくれた。来年のエース候補としては、何とか万全の調子で投げてもらいたいと願う次第だ。  
 
  
左)4回から登板の國正くん。6イニングを無失点とほぼ完璧なリリーフであった 中)本日唯一の送りバント(失敗!) 右)マウンドを降りた橋場くんであったが、ファーストに回ったあとのグラブ捌きとタコのような足使いによるセービングは献身的であり、セカンド吉川くんとともに内野守備を締めた

 その4回オモテをヒット1本は打たれるもゼロに押さえて、いよいよ北陵に流れが来るかと思える予兆もあった。先頭打者・國正くんがフォアボールを選んだのだ。ピッチャーの心理としては、ノーアウトのランナーはとても嫌であり、守りの緊張度も上がるので、何でもないプレーでミスも起きやすくなる。

 少なくとも管理人はそういう場面を数々見てきた。

 ところが、続く主砲の吉川くんが内野ゴロゲッツー。この時の『管理人取材メモ』には「ん〜、厳しいか?」と書かれている。持って来れそうで引き寄せられない“流れ”。このまま慶應に行きっぱなしなのか...?

 そして5回ウラ、ついに転機がやって来た。

 この頃になると、北陵応援席は一般学生がどんどん増えて、ひじょうに盛り上がりを見せるようになっていた。そうしたこともおそらく無関係ではなかろう。先頭の原くんがレフトオーバーの3塁打。3塁ベース上のタッチプレーはかなりきわどかったがセーフ。

 ついに、ノーアウトで得点圏という状況が初めて生まれた。

 管理人はここで考えた。「スクイズとかやって1点を取りに行くかな?」と。

 心中、「それは北陵らしくあるまいて」と考えていた。

 強豪私学に勝つためには5点以上取れる打線の育成が必要、という持論の松島監督がここでスクイズをやって1点取りに行くとしたら、勝ち目は薄いとも思っていた。

 それをやらず、桑原くんの犠飛(やや浅く、ちょっくら心配にもなったが)により原くんが生還。ついに北陵も表面張力状態を脱し、現実に得点が入るという結果に結びつけた。少なくとも、これで北陵は「乗っていける」材料を揃えたことになる。

 とは言っても慶應はまだ2点リードしているわけで、ここで北陵に傾きかけた流れを再度引き寄せる策略を思い切って打たれればかなり苦しかったはず。
 
  
左)投げる方ではあまり活躍できなかった橋場主将であったが、打つ方と守る方で大活躍 右)慶應は2・3番手投入のタイミングがやや遅かったか...。写真は3番手の背番号1・稲垣くん

 勿論、結果がわかっている今だからこそ書けるのであろうが、5回の1点を以ってして、慶應はもっと大きく動いておくべきであったと言える。それを球威が目に見えて落ちた先発の竹林くんを引っ張りすぎたことで、北陵にビッグイニングを作られてしまった。

 6回ウラの北陵の攻撃はそう言わしめるほどのスピードがあり、竹林くんも落ち着きある投球を見せていたが、1死満塁から橋場くんに同点タイムリーを浴びてしまった。試合開始当初に比べると明らかに球威がなくなっており、危険な状態であった。

 慶應は2番手としてやはり2年生の花田くん、さらに2年生の稲垣くんを登場させたが、ワイルドピッチと森松くんのタイムリーが出て、この回一気に4点を献上してしまったのである。

 慶應には慶應の事情があって、早めの継投策に出られなかったのかもしれないが、そういう紙一重のところで勝負のアヤは変わるものだ。今回はそれを恐いほどに知らされた。
 
  
 
 北陵は一度つかんだ流れを離すことなく9回まで突き抜けた。これは戦略・采配の勝利と言えるものであり、松島監督としては高校野球の監督としての矜持を感じられるゲームではなかったろうか。勿論、それに応えられる選手の能力があってこそなのだが。
 
勝敗を分けたのは「流れへの察知」であった...

いざ、創学館戦へ。リベンジなるか...?
 
 さて、20日保土ヶ谷球場で予定されている創学館との3回戦。キーマンに少しずつお話を聞かせてもらった。

管理人「國正くん、ナイスピッチング。創学館戦、また投げる機会があるかもしれないけど...?」
國正くん「体がちゃんと動くようにしておきたいです。指先にボールが掛かれば、と思います。」

管理人「橋場くん、今日はピッチングは少し苦しかったね。」
橋場主将「はい。エースとして情けない内容でした。」
管理人「でも、守備や打撃では大活躍でした。」
橋場主将「ええ。國正がしっかり投げてくれているし、自分もファーストで出るからには絶対にボールをうしろにそらしたりはしない、という気持ちで守りました。」
管理人「さて、創学館戦ですが、どういうピッチングを?」
橋場主将「今日の第一試合を見ていても、高めのボールはきっちり打ってくるので、いかに低めに投げられるか、ですね。コントロールが大切だと思いました。」
管理人「先日は完封するつもりで投げたいと言ってましたが...」
橋場主将「そうですね。いいピッチングができるように、2日間、コントロールに気をつけて練習します。」

管理人「おめでとうございます。今日は打つ手が当たりましたね。」
松島監督「はい、おかげさまで。」
管理人「4回の継投は?」
松島監督「やはり、ここであと1点でも開かれると厳しいと感じましたから、度胸のある國正で勝負しました。ただ、國正は2〜3イニングしか投げたことがなくて、今日はよく投げましたね。」
管理人「監督は次の試合のことをお聞きすると、なかなか答えてくれませんが、一言だけで結構ですので、創学館戦への抱負をお聞かせ下さい。」
松島監督「10対9で勝ちたいですね。そういう試合にしないと勝てないと思います。」(キッパリ)
管理人「ありがとうございました。期待しています!」

それぞれの想いが凝縮されたインタビューだったように思います。
本当に楽しみです。

雨天順延などがなければ管理人も伺える可能性が高いです。
是非、北陵野球で堂々の勝負をして下さいね。

  
松島監督ご自身もきっと納得のゆくゲームだったかと想像します。お疲れ様でした

  
  
  

盛り上がっていた北陵応援席。応援している方も本当に楽しそうでしたよ。また、父母会の皆さん、冷たい飲み物などのお心遣いありがとうこざいました。ご馳走様でした