B部門:7/27up A部門:7/26up

 
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【B部門:7/26】
管理人注目チームの登場!県大会枠2はマジで厳しいぜ
 
 B部門(35人までの編成)にはなぜか課題曲がない。即ち、自由曲一発勝負である。

 当然そのことによる損得があるのかもしれないが、決められたルールの中でやるのが勝負事の定めですからなぁ。なぜB部門の課題曲がないのか、という論争については後述するとして、湘南地区からは2チームしか参加できないということの方が重大なことであろう。

 これについては昨年も記したので割愛させてもらうが、何か宝物を捨てるような規定だと感じてしまう。

 昨年Bでの出場であった西浜と鶴嶺がA部門へ参加、昨年は出場していたアレセイアが今回は不出場となったが、昨年はA部門であった慶応湘南がB部門での出場となった。つまり、県大会への2枠を目指して7チームがチャレンジするのがこのB部門である。A部門にも参加した日大藤沢・北陵以外の5チームにとっては(実際には日大藤沢も北陵もなんだけど)この日が勝負のステージ。

 管理人は様々な想いを抱いて演奏を聴かせてもらいました。

 ちなみに、悪気はなかったのですが、B部門には写真スタッフを連れてゆくことが出来ず、写真はほとんどありません。ご寛容を。

B部門 管理人独自採点&短評
 
【採点項目】
@シンクロ性:パート内・パートごとの吹き出しやブレイク時のピタリ感 10点満点
Aダイナミックス:全体的音量とその強弱のコントラスト 10点満点
B安定感:音程や音量のバランス。要は安心して聴けるかどうか 10点満点
Cビジュアル:ステージの楽器配置・ユニフォームの統一感・演奏者の目線など 5点満点
Dワクワク感:課題曲終了後、自由曲演奏途中までに感じる期待度 5点満点

 以上40点満点で採点してみました。

1.寒川

 歌劇「トゥーランドット」より(プッチーニ作曲、岡田寛昭編曲)

 コントラバス1本 男子6名(服装による目視不能だったので顔で判断...)

◇◆◇管理人独自採点◇◆◇
@9 A9 B8.5 C5 D4 計:35.5点

■短評(あくまで主観的に書いていますので、気になさらないで下さい)

 出だしからかなり「吹き込んだ」という様子が伺われ、音が縦横に広がるイメージであった。35人までの編成とは思えぬ大音量で、壮大な演奏。指揮者の岡田さんは自らコンクール用にこの曲を編曲するという思い入れもたっぷりで、その様子は指揮する背中を見ていても感じ取れるほどのオーラがあった。昨年・一昨年(A部門での出場)は惜しくも県大会出場を逃し、この部員たちで県を逸すると丸ひと世代県大会を経験していないこととなり、ある意味で寒川高校吹奏楽部の危機でもある。テンポの速い曲ではないため、技術が伴わないとグシャグシャになるところだが、ひじょうにしっかりと吹けている印象で、少なくとも「金賞」は堅いと思わせた。また、男女ともに上下黒(下はズボン)のいでたちで、そのことも目を引いた。このバンドが最初なので、あとのバンドの採点は比較的抑えられるという予想は前日のA部門と同様であった。

2.藤沢

 ザ・レッド・マシーン(グラハム作曲)

 コントラバスなし 男子0名

◇◆◇管理人独自採点◇◆◇
@7.5 A7 B7 C3 D3 計:27.5点

■短評(あくまで主観的に書いていますので、気になさらないで下さい)

 人数が少なめなので音量のMAXが寒川と較べると小さいのはしかたなかろう。細かな音の繋ぎやピッチにちょっとした不安はあるものの、低音部とパーカッションが頑張るバンドだという印象で、昨年に続いて好感の持てる演奏であった。男の子が入ると、音も劇的変化を遂げるのかもしれない。

3.慶応湘南

 ノアの方舟(アッペルモント作曲)

 コントラバス1本 男子4名

◇◆◇管理人独自採点◇◆◇
@8 A8.5 B8.5 C4.5 D4 計:33.5点

■短評(あくまで主観的に書いていますので、気になさらないで下さい)

 ビジュアル的にも楽器の多彩さに於いても、このB部門の中では特筆モノであった。パーカスではトタン板のようなものをぶっ叩くというシーンが見られたし(この他にもパーカス群は素敵な効果音を形成していた)、口をミュートするような感じで声を一つの楽器に見立てた場面もあり、この選曲が彼らに合っている印象であった。エンディングではかなり音量が小さくなり、そこでのピッチがやや気にはなったが、少なくとも管理人のストライクゾーンにズバリと決まる演奏で、心地よかった。管理人の中では「金賞」に相当する。

4.北陵

 ムーアサイド組曲(ホルスト作曲、ライト/ジェイコブ編曲)

 コントラバス1本 男子4名

◇◆◇管理人独自採点◇◆◇
@7 A7 B7 C3.5 D3 計:27.5点

■短評(あくまで主観的に書いていますので、気になさらないで下さい)

 ステージを半円形ではなく、前後3列で形成するアイデアや組曲の1曲目をパーカッションなしで演奏する大胆さはオリジナリティを感じさせてくれ、少人数ならではの楽しみを伝えてくれた。全体的に丁寧に吹くことによって、音量よりもバランスや安定性を意識した演奏なのかなと感じた。全員が1年生ということもあり、コンクールという舞台を経験した彼らの今後の成長が楽しみである。

5.大清水

 コラール第3番 イ短調(フランク作曲、鈴木英史編曲)

 コントラバスなし 男子1名

◇◆◇管理人独自採点◇◆◇
@7 A6.5 B6.5 C4 D3.5 計:27点

■短評(あくまで主観的に書いていますので、気になさらないで下さい)

 ある意味で管理人が最も気に掛けていたチーム。ここ3年間、常に部員(少なくともコンクールに出場するという意味での)がひと桁であり、それでも一生懸命に吹く姿は感動モノであった。そして、今年もステージのセッティングが始まると、管理人の座っていた後方から「あれ、すげぇ少なくねえ...?」といった声が上がり、束の間ざわざわする。管理人はこの大清水が銀賞以上を獲れないかなぁと強く願っていた。これまで登場したバンドは全てステージの板に直接載る演奏者が少なからず存在したが、大清水は全員がひな壇(という言い方は間違ってる?)の上。指揮台も彼らに近づくように客席側からは遠い位置へと移動する。正直言って、かつてはこういったシーンを見て「大清水、ちょっと可哀想」と思ったりもした。しかし、今年はピッチにちょっとした不安を抱かせるものの、チューバ・ユーフォニウムを含め、細かなフレーズの連続やダイナミックレンジ、さらには明暗のコントラストも出ていて、十分に背筋をビリビリさせてくれた。金賞には届かないかもしれないが、銀賞は獲らせてあげたいと思う演奏であった。可能ならば、是非アンサンブルコンテストに出場してもらいたいなぁ...。

6.日大藤沢

 喜歌劇「こうもり」セレクション(シュトラウスU作曲、鈴木英史編曲)

 コントラバス1本 男子4名

◇◆◇管理人独自採点◇◆◇
@8 A8.5 B8 C3.5 D3.5 計:31.5点

■短評(あくまで主観的に書いていますので、気になさらないで下さい)

 昨日のA編成に続いての登場であるにも関わらず、ほぼフルメンバーと見えた。日大藤沢はかなり部員が多いということになる。で、このバンドの持ち味は有り体に言えば「元気がいいね」ということか。特に音量の大きな部分ではそのノリが実に小気味よく、楽しく聴かせてもらった。場面転換部や音量の下がったところでのスムーズさが出てくれば、バンドとしての完成度は飛躍的にアップしそう。

7.藤沢西

 セレブレーションズ(ズデクリック作曲)

 コントラバス1本 男子6名

◇◆◇管理人独自採点◇◆◇
@9.5 A9 B9.5 C3.5 D5 計:36.5点

■短評(あくまで主観的に書いていますので、気になさらないで下さい)

 昨年、東関東大会まで進出した経験値は間違いなくこのバンドにも様々な形で受け継がれている。出だしから速いフレーズなのだが、全く澱みなく軽やかに音が繋がり、その安定感は群を抜いていた。“聴かせどころ”というのをしっかり心得ており、それをまず冒頭に持ってくるというのも、ある種のしたたかさを感じさせてくれ、潔さすら覚える。途中まで聴いて「こりゃ県大会は間違いないね」と感じられるほど、パート単位での音の追いかけ(名づけて「煽情的管楽器群」もしくは「ブラス煽情」)はしっかりと根付いており、その動画的演奏は踊るが如くとすら感じられた。昨年の「クラブ・ヨーロッパ」も素晴らしく、最早それ以上の選曲があるのかと実は心配もしていたが、全くの杞憂に終わった。こういう言い方をすると、他校には申し訳ないような気もするが、格の違いすら見せる演奏だった。

B部門 本当の審査結果
 
【金賞】
寒川、藤沢西
 ※この2チームが県大会に出場します

【銀賞】
藤沢、慶応湘南、日大藤沢

【銅賞】
北陵、大清水

 
 県大会出場チームは妥当なのだと思ったりする。寒川と藤沢西は選曲から指揮の振り方から対照的なチームであり、彼らが存分に力を発揮してくれると、湘南地区の株が上がるに違いあるまい。

 県大会への出場が叶わなかった学校の諸君は、アンサンブルコンテストなどでまた会えることを楽しみにしていますね。

 出演者の皆さん、裏方の皆さん、運営者の皆さん、お疲れ様でした。

B部門 インタビュー
 
県大会出場権獲得!寒川高校指揮者・岡田寛昭さん
 
 
左)部長の溝口美咲さんと 右)ともに県大会出場を果たした藤沢西高校の新倉徹也先生と
 
  3年ぶりに県大会出場を決めた寒川高校の指揮者・岡田寛昭さん。管理人は彼がこの2年ほど、様々な修行をしてきたことを知っているだけに、我がことのように嬉しかったです。

管理人「今日は出演順序が1番でしたが、これはやりやすいものでしょうか、それともやり辛いものですか?」
岡田さん「セッティングに時間が掛けられるという意味ではよい順番でしたね。トップでなければ、あれほど時間は掛けられませんから。」

管理人「今日、一番気をつけていた点は何でしたか?」
岡田さん「ん〜、振り始めですかね。空間支配ということを目指してきたので、生徒たちには台の上に乗ったらすぐに振り始めるかもしれない、と伝えておきました。」

管理人「今日のデキを採点すると?」
岡田さん「生徒は90点、ボクは50点ですね。」

管理人「50点というのは厳しいですが...」
岡田さん「(部長の溝口さんを見ながら)この子たちに県大会を経験させてあげることが出来ず、辛さを味あわせてきてしまったという気持ちが冷静さを欠かせたんですが、実は大きな振り間違いをしてしまったんです。だから、もしこれで県大会を逃していたら切腹ものでしたね。」

管理人「そうは見えませんでしたが。」
岡田さん「客席にはそう見えないようにカバーするテクニックを使ったのですが、生徒たちにはまるわかりでした(苦笑)」

管理人「生徒の90点というのは?」
岡田さん「実は今朝の練習のデキがひじょうによかったんですね。あれを本番で出せれば、審査員の皆さんからもあと7点くらいはもらえたのではないかと。」

管理人「今年は“ビジュアル”という採点項目を増やして、視覚的なことも意識して見ているのですが、寒川は男女とも黒シャツ・黒パンツでしたね。これにはどんな意図があったのですか?」
岡田さん「黒の制服ズボンは買うと8千円くらいはするので、女子には黒のフォーマルズボンを買うようにさせました。これは将来的にも着られますし。シャツは千円少々で買えますから、これでいこうと。黒には楽器を綺麗に見せる力がありますから、そういったところを考えましたね。OB楽団もこれで統一しようかと思います。」

管理人「県大会での抱負をお願いします。」
岡田さん「勿論、東関東大会を目指します。ただ、会場の川崎市教育文化会館というのがやり辛さのあるところと新倉先生(藤沢西顧問)から聞いていますので、何か対応しないといけないのかもしれませんが。」

 インタビューしている間に、県大会での演奏順序が1番に決定。

岡田さん「げ〜、また1番か...」
管理人「でも、今日も1番でうまくいきましたから、縁起がいいのかもしれませんよ。」
岡田さん「そうですね。縁起がいいとしましょう(笑)」

管理人「部長の溝口さんにちょっとだけ伺います。今日、失敗した点と県大会での演奏で気をつけたいことを教えてもらえますか?」
溝口さん「今日は緊張に押し潰されて、音楽を壊してしまったところがありました。県では「トゥーランドット」の物語を聴いてくれる人に伝わるような演奏をしたいです。」

管理人「お忙しいところ、ありがとうございました。県大会も期待していますね。」
岡田さん・溝口さん「ありがとうございました。」

 岡田さんも溝口部長も明るい表情で応えてくれて、その嬉しさが伝わるようでした。寒川高校吹奏楽部の新たな1ページを刻んだこのコンクールを経て、さらに素晴らしいバンドに成長していって下さい。

北陵高校指揮者・丸山透先生
 
  HWE専門ベージでおなじみの透ちゃんこと丸山透先生に総括も含め、お話を聞かせてもらいました。
(写真左は昨春北陵を卒業した弓桁くん。コンクール運営にひと役買ってました)
 
管理人「A部門では金賞・県大会出場を果たしましたが、演奏としてはいかがでしたか?」
丸山先生「ん〜、目標としていた252点(全審査員から平均で9点をもらう)には9点足らない243点でした。その不足分というのは油断だったと思いますよ。」

管理人「油断というのは?」
丸山先生「今、北陵はプレハブの仮校舎で勉強していますが、吹奏楽の練習は空調の効いたその仮校舎でやっています。日頃のそういった素晴らしい環境に甘えているところがあります。技術的には昨年よりうまくなっていますが、精神的なものが欠如していますね。」

管理人「Aバンドの主力となる2年生は、昨年のコンクールではB部門に出て、先生も“気持ちの入ったバンド”という評価をされていましたが...」
丸山先生「そうなんですが、ひたむきさがなくなったというか。聴いて下さる人をいかに感動させられるか、ということを忘れているところがあります。このくらい演奏できれば地区は通るだろうとか。ま、仏作って魂入れず、といったところですね。金銀銅といったことは関係ないんです。そんなことを気にするのはレベルが低い。実際、昨日(24日)のホール練習ではブチ切れましたからね。」

管理人「それは演奏に問題があるということですか?」
丸山先生「粗さがありましたね。迫力だけで押しているような感じで。意識が足りないんだと思います。」

管理人「B部門は残念ながら銅賞ということでしたが。かなり緊張もしていた様子ですね。」
丸山先生「まあ、本日の精一杯というところでしょう。緊張するという経験自体が大切ですし、もとから技術も楽器経験もない子たちが、今出来ないことでも何とかやってみようという気持ちはこれから彼らを成長させるものですから。Bの方がAよりも気合では上でしたね。県大会に出るAには、Bバンドのひたむきさを見習えと言いたいです。Bの銅賞は最高の銅賞でヘタに銀賞を取るよりよっぽどよかったと思います。財産になりますね。」

管理人「精神的な問題、ということですね。」
丸山先生「はい。出来ることもやろうとしない、という姿勢では...。物事を舐めたら終わるよ、とAの連中には言いたい。想像力を持って、いろんなことに対応してもらいたいですね。」

 こりゃかなりAバンドに対して厳しい...。

 この話を聞いていて、管理人は3年ほど前の県大会直前練習の風景を思い出していた。

 とにかく暑い。汗がだらだら落ちる旧校舎の視聴覚室、「湘南地区の代表として恥ずかしくない演奏を」という気合で合奏していた当時の部員たち。丸山先生は現部員の方が技術は上だが、その技術を上達させる源泉の一つである恵まれた環境を当然のものとして受け取ることが許し難いのかもしれない。もっと感謝の念を持ちなさい、と。

 「部活ネット」を通じて、丸山先生の想いが少しでも部員たちに伝わるといいですが...。
(ちなみに、北陵の部員たちはしっかり裏方の仕事もしますし、称賛すべき点も多々あります)


管理人「話は変わりますけど、B部門にはなぜ課題曲がないのでしょうか?35人(少人数)だから、というのにはあまり納得できないのですが。」
丸山先生「かつてはBにも課題曲があったはずです。B用の課題曲が。ところが、課題曲・自由曲をやると、1バンド15分で回してゆくことになりますから、時間が切迫するわけです。多くの学校を県大会などの上のステージで演奏させてあげようという配慮で、Bについては自由曲だけ、ということになったのではないかと。ただ、これは想像の領域ですから、もっと生き字引のような人に確認した方がいいかもしれません。」

 なるほど。確かに50人でバンドの出来る学校は今でもすごく多いというわけではないし、Bに出てくる学校のことを考慮しつつ、自由曲だけになった、と。

 80パーセントくらいは納得できました。残る20%については、また何かの機会にそれに相応しい人に尋ねたいと思います。

 丸山先生、お忙しい中、またお疲れのところありがとうございました。
 

【A部門:7/25】
西浜・鶴嶺が新たに参入。3つの県大会枠を目指して8チームが熱演
 

 25日は真夏モード。

 管理人は野球の取材に通う中、「今年は全然夏らしくない天気が続くなぁ」と思っていましたが、ようやく来ましたね。クソ暑い夏。

 やはり、祭りにはそれに相応しい天気があったりしますからね。

 さて、今年も一応「独自採点表」持参です。ま、採点とは言っても、細かなところはさておき、結局は「どのくらい気持ちが震えるか」ということを数値化してみた、というものであり、そこに論理的根拠は全く存在しません。

 で、音楽そのものとは大きな関連性がないのかもしれませんが、今年は「ビジュアル」という採点項目をこっそり加えてみました。生の演奏を聴く折、「視覚的インパクトから想起されるものも無視はできないんじゃないの?」という経験則に基づきます。勿論、本物の審査にはそんな項目はありませんが...

 そうした視点から見ると、よりいっそう楽しめる、という個人的嗜好の問題です。何せ吹奏楽部員たちにとって晴れの舞台ですから、それをどう客に聴かせるか、という装置の一つに「ビジュアル」も無関係ではないのではないかと思ったりするわけです。

 同様に、特にA部門には課題曲と自由曲がありますから、2曲の間のわずかに存在する「間」は、これも無視できないものかなぁとも思います。つまり、課題曲を聴いて「このバンドはどんな自由曲を聴かせてくれるのだろう」といった期待感がありますよね(少なくとも管理人には厳然と存在する)。或いは、自由曲の途中で「おや?おやおやおや?」と感じさせてくれるような音との出会い、とでも言いましょうか。

 それを「ワクワク感」と称して採点してみました。

 正直に言うと、実はこの「ワクワク感」だけを採点項目にしてもいいくらいなのかと思ったほどです。「このバンドの演奏をもう一度聴いてみたい」と思わせてくれる度合い、と言い換えてもよいかもしれません。

 ま、いろいろと書きましたが、つまりは「素晴らしい演奏で楽しませてちょーだい」ということに尽きます。そして、その結果として金賞やらの賞や県大会・東関東大会といった次なるステージがある、と考えて頂ければ演奏者も楽しめるのかなぁ、などと勝手に思う次第です。
(聴いてるだけの人は気が楽でいいですね、と言われれば返す言葉はないんですけど...)

 尚、今年は各チームにコントラバスが何本あるか、ということと男子が何人いるか(あくまで目視でわかった数)ということに着目してみました。いやいや、これは採点云々ということとは無関係で、管理人は吹奏楽に於いて「コントラバス奏者の揺れ具合」というのがとても気になってしまうので...
(個人的趣味では揺れてるのが好き、という意味です)

 さてさて、どうだったでしょうか...
 


A部門 管理人独自採点&短評
 
【採点項目】
@シンクロ性:パート内・パートごとの吹き出しやブレイク時のピタリ感 10点満点
Aダイナミックス:全体的音量とその強弱のコントラスト 10点満点
B安定感:音程や音量のバランス。要は安心して聴けるかどうか 10点満点
Cビジュアル:ステージの楽器配置・ユニフォームの統一感・演奏者の目線など 5点満点
Dワクワク感:課題曲終了後、自由曲演奏途中までに感じる期待度 5点満点

 以上40点満点で採点してみました。

1.日大藤沢

 課題曲W マーチ「ブルースカイ」(高木登古作曲)
 自由曲 青い水平線より 発光生物、クラーケン対リヴァイアサン、シロナガスクジラ(チェザリーニ作曲)

 コントラバス1本 男子6名

◇◆◇管理人独自採点◇◆◇
@9 A8.5 B8.5 C5 D4.5 計:35.5点

■短評(あくまで主観的に書いていますので、気になさらないで下さい)

 課題曲は出だしからしっかり吹けていて、安定感を印象づけた。自由曲は最初チューニングをしているのかと思うような演奏で、そこから音が重なってゆく。かなり難解な始まりをどうにか乗り切ったあとは、海中をイメージさせ、意図的かどうかはわからないが、左右のステレオ感が実に心地よく、ほどよい緊張感もよかった。パーカッションにはキレがあり、コントラバスは弦の上で指をスライドさせる奏法(何ていう奏法ですか?)でひじょうにオリジナリティが高い。あと、弓を引くような感じで効果音と思われる音を出していた楽器が何であるかにも興味をそそられた。とにかく楽器が多彩で全体としてとても楽しませてもらい、このバンドが最初に出てきたことで、管理人独自採点の得点が全般的に抑えられるように感じた。

2.茅ヶ崎

 課題曲W マーチ「ブルースカイ」(高木登古作曲)
 自由曲 吹奏楽のための「神話」〜天の岩屋戸の物語による〜(大栗裕作曲)

 コントラバス2本 男子4名

◇◆◇管理人独自採点◇◆◇
@9 A9 B9 C4.5 D5 計:36.5点

■短評(あくまで主観的に書いていますので、気になさらないで下さい)

 日大藤沢と課題曲が同じだが、楽器構成が違うこともあって聴こえ方が違ってそれだけで面白い。茅ヶ崎は管が前に出るイメージであった。全体的な音色が柔らかい印象で、強弱のコントラストもあって、必然的に「ワクワク感」は高まる。自由曲は出だしが難易度の高いものと思われたが、うまく決まり、終始スリリングな演奏で楽しませてくれた。課題曲よりもパーカッションが前面に出ている印象もあったが、それって意図的なものだったんだろうか...。後半部は地底から湧き出るようなクラリネットが何となく昔の映画「ゴジラ」を想起させる場面や、トランペットがミュートで妖艶な音を出す場面ですっかりやられたのち、クラリネットソロとパーカッションのみで演奏される部分(これは時間的にも短くなかった)もあり、かなり冒険もしている印象であった。最後のブレイクが決まったあとは「プラボー!」と言いたくなる演奏で、管理人が茅ヶ崎の演奏を聴き始めてから最高のデキだと感じられた。

3.湘南学園

 課題曲V 憧れの街(南俊明作曲)
 自由曲 ミュージカル「ミス・サイゴン」より 序曲、我が心の夢、サイゴン陥落、今がこの時(シェーンベルグ作曲、宍倉晃編曲)

 コントラバス1本 男子8名

◇◆◇管理人独自採点◇◆◇
@7 A7 B7 C3.5 D3 計:27.5点

■短評(あくまで主観的に書いていますので、気になさらないで下さい)

 課題曲は木管にやや弱さを感じさせたが、音の広がりが感じられる演奏であった。ソロのところでチューニングが気になったけど...。サックスの子が楽しそうに演奏している(本当はすごく緊張していたのかもしれないけどさ)のを見て、安心感を覚える。自由曲は始まりのところで、ピアの男の子が鍵盤を全く見ずに(指揮者の方を向いていて)演奏する様子を見て、驚きを覚えずにはいられなかった。鍛えるとあんなことが出来るものなんですね。全体の演奏は、横には広がるが縦には突き出ていかない、という印象で、前2校とは何が違うのかなぁと...。誰か教えて下さい。

4.湘南

 課題曲W  マーチ「ブルースカイ」(高木登古作曲)
 自由曲 おほなゐ〜1995.1.17阪神淡路大震災へのオマージュ(天野正道作曲)

 コントラバス2本 男子9名

◇◆◇管理人独自採点◇◆◇
@8.5 A9 B8.5 C5 D4 計:35点

■短評(あくまで主観的に書いていますので、気になさらないで下さい)

 まず男女統一のユニフォームに目を引かれる。また、多くの学校がユーフォニウム・チューバをステージ右側(半円形の3列目の手前側)に配しているのとは違い、横に並べた後列に配置、さらには太鼓群が左側、というのも視覚的に楽しく、ビジュアル度は間違いなくナンバーワン。これは湘南の伝統なのかもしれない。課題曲は日大藤沢・茅ヶ崎と同じで、その演奏の違いはまたしても面白かった。湘南は木管が安定している感じで、ブレイクもきれいな印象である。自由曲は平和な朝をイメージさせる始まりから、サイレン+管+パーカスによる劇的盛り上がりとブレイクで管理人のストライクゾーンに入ってきた。これって大地震発生を音楽にしたものなのかな?後半、クラリネットとフルートによる静寂な演奏でやや苦しい場面があったが、全般的には管理人好みの演奏であった。ただ、評価は難しいのかもしれないとも感じた。

5.北陵

 課題曲T ピッコロマーチ(田嶋勉作曲)
 自由曲 アルメニアン・ダンスUより 3、ロリの歌(リード作曲)

 コントラバス3本 男子8名

◇◆◇管理人独自採点◇◆◇
@9 A9.5 B9 C4 D4.5 計:36点

■短評(あくまで主観的に書いていますので、気になさらないで下さい)

 ピッコロの鳴りが可愛く、シンクロ性の高い課題曲ではあったが、パーカッションが敢えて抑え目にしたのかなぁという印象もあった。正直に言うと、課題曲終了時点での「ワクワク感」は茅ヶ崎や湘南より小さかった。自由曲は「ヘビー級」を感じさせる大音量と縦横に広がる音出しでさすがと思わせる。音量が大きい場面でも安定感はピカ一。中盤には厭世観を漂わせる演奏で、寒い夜に暗い道をとぼとぼ歩いている感じ(全く違っていたらゴメンなさい)を醸し出し、それとは対極の終盤は強弱のコントラストがあり、「疾走」するイメージ。最後のスタッカート(?)では気持ちを大きく揺さぶられ、絵画性豊かなキレがあり、終わった時には「おぉ、やっぱり北陵テイストだったのね」と感じられた。伸びる余地がかなりあるバンドと見ました。


6.西浜

 課題曲W  マーチ「ブルースカイ」(高木登古作曲)
 自由曲 ペルシス(ホゼイ作曲)

 コントラバス2本 男子8名

◇◆◇管理人独自採点◇◆◇
@7.5 A7.5 B7.5 C3.5 D3.5 計:29.5点

■短評(あくまで主観的に書いていますので、気になさらないで下さい)

 A部門初挑戦。指揮の渡邊良子先生も仰っていたが、B部門との最大の違いは「課題曲がある。即ち2曲演奏する」ということであり、演奏者数の問題だけではない。管理人は長らく見させてもらってきた西浜がそういった問題をどのようにクリアしてこの日のステージに立っているかに興味とちょっとした心配を抱えていた。課題曲を聴き、「いやぁだいぶ安定感が増したじゃないですか」と言いたい気持ちになった。シンクロ性は間違いなく高くなり、かなり練習してきたことを窺わせた。自由曲では音と音の繋ぎでやや粗さが感じられたり、ダイナミックレンジの幅がまだ小さいといったところに上位校との差があるように思えたが、これは経験値を上げ、演奏時の精神的余裕を増してゆくことで解決されると見ました。今後にさらなる期待をしています。

7.鶴嶺

 課題曲U コンサートマーチ「光と風の通り道」(栗栖健一作曲)
 自由曲 ヴァレリウス変奏曲(スパーク作曲)

 コントラバス1本 男子1名

◇◆◇管理人独自採点◇◆◇
@8.5 A8 B9 C4.5 D3.5 計:33.5点

■短評(あくまで主観的に書いていますので、気になさらないで下さい)

 鶴嶺は昨年B部門で県大会出場を果たし、部員も増えたことから、西浜同様にA部門へのチャレンジとなった。どんな演奏になるか楽しみである。ステージ中央に全楽器を集めたような配置は目を引く。課題曲は全体的な音量はそれほど大きくないが、とにかく管が安定しているという印象で、ピッコロが効果的な音色の「佳作」。自由曲も徹底して管楽器が安定している。ただ、打楽器群の音量が小さいように思え、それでちょっと損をするかもと感じた。いやぁ、それにしても、本当に管楽器は柔らかく音を出そうとしている印象で好感を持てた。アンサンブル部門があれば最優秀賞なのかもしれない。

8.鵠沼

 課題曲W  マーチ「ブルースカイ」(高木登古作曲)
 自由曲 ザ・マスク・オブ・ゾロ(ホーナー作曲、ボコック編曲)

 コントラバスなし 男子2名

◇◆◇管理人独自採点◇◆◇
@7.5 A8.5 B7 C4 D3.5 計:30.5点

■短評(あくまで主観的に書いていますので、気になさらないで下さい)

 評価が分かれるところかもしれないが、課題曲・自由曲ともに管楽器の音が突き抜けるようなイメージで音量豊かなのが管理人には心地よい。強く大きく吹くということに関してはおそらく自信もあるのだろうし、それが演奏に出ていたように思う。また、コントラバスがないという事情もあるだろうが、チューバ・ユーフォニウムが懸命に低音を支えようとする意識も見え、好感度が高い。惜しむらくは、音量が下がったところでの安定感に欠けるところで、それが叶えばより鮮明なダイナミックスのコントラストを描けるバンドになれるだろう。

A部門 本当の審査結果
 
【金賞】
日大藤沢 茅ヶ崎 北陵
 ※この3チームが県大会に出場します

【銀賞】
湘南 西浜 鶴嶺

【銅賞】
湘南学園 鵠沼


 という結果でした。

 湘南の銀賞や鵠沼の銅賞は管理人の予想とは明らかに違っていましたが、ま、そこはご愛嬌ということで。

 県大会に出場する3校の皆さんは、是非より演奏に磨きをかけ、頑張ってきて下さい。期待しています。

A部門 インタビュー
 
※インタビューは「部活ネット」女性スタッフによるものです

【茅ヶ崎高校指揮 内川裕子さん】


Q:本日の出来はいかがでしたか?
A:いつも通りです。

Q:自由曲は出だしが印象的でしたね。内川さんが選んだのですか?
A:私が選びました。前指揮者の伊藤さんに相談している時に、「こんな曲もあるよ」と言われて聞いて、一目惚れ(?)しました。これしかないと、迷うことなく決めました。
Q:それはいつ頃のことですか?
A:締め切りギリギリですね。うちは定演が遅いので。

Q:演奏上最も気をつけた点は?
A:集中力が途切れないようにということです。各パートの失敗を隠すように振りました。

Q:今日の演奏中にも、ちょっとした失敗はあったんですか?
A:そりゃもう・・・。「遅い!」とか。でも、そこで私が引っ張っても、ついて来る子と来ない子がいるので。

Q:指揮者としての満足度はいかがですか?
A:今までのコンクールの中で一番高いと思います。
Q:指揮をなさっている時の背中が素敵でした。
A:ありがとうございます。

Q:お疲れのところ、どうもありがとうございました。
A:どうもありがとうございました。


【西浜高校指揮 渡邊良子先生】
 
※インタビューは「部活ネット」女性スタッフによるものです

Q:本日の出来はいかがでしたか?
A:練習通りです。元気に出来てよかったです。

Q:自由曲を決めたのは先生ですか?選んだ意図は?
A:私です。うちのバンドの状態に合っていて、私の好きな曲です。

 
Q:演奏上最も気をつけた点は何でしょうか?
A:やっぱり、何だろうなぁ…、音楽が話をするように、曲の物語が見えて来るようにということですね。技術的にはまだまだだけど、色をつけるとか景色を感じるという点では、随分頑張れた気がします。

Q:いつも先生の笑顔を見ると、私でさえもほっとしてこちらも笑顔になるのですが、生徒にとっては、先生の笑顔がムードメーカーというか、すごくあったかい存在なのでは?
A:うふふ。怒ると恐いんですよ!

Q:管理人に伝言がありますか?
A:頑張ってます。人数も増えているので、来年あたりAで50人揃うんじゃないかと。

Q:お疲れのところ、どうもありがとうございました。
A:どうもありがとうございました。

 夏のコンクールに向けて毎年痩せる思いの良子先生であるが、なぜか冬場にはちゃんと(?)元に戻るそうです。


【北陵高校指揮 丸山透先生】
 
※インタビューは「部活ネット」女性スタッフによるものです

Q:本日の出来はいかがでしたか?
A:70点です。

Q:曲の難易度が高かったのでしょうか?
A:課題曲は1校だけでしたね。
Q:自由曲の方は?
A:易しい曲なんて、ありませんから。

 
Q:自由曲を選んだのは先生ですか?
A:僕です。
Q:この曲を選んだ意図は?
A:去年GRの曲でレンタルの楽譜で高かったので、今年は持っている楽譜で安上がりにというものあります。あとは、いろいろと。

Q:演奏上最も気をつけた点は?
A:バランスですね。特に自由曲はイケイケモードでわぁーっといける曲なので、落ち着いて各パートのバランスをとりながら、時間をかけてやったことを出せるようにと。

Q:3年生は6人ですか?今年は少ないですか?
A:いつもこんなもんでしょう。
Q:定演が終わったところで引退する方が多いですか?
A:そうですね。勉強する時間が無いんじゃなくて、勉強できないんです。

A:いつも本当にありがとうございます。
Q:こちらこそお疲れのところどうもありがとうございました。